こんにちは。
健康福祉部長の小野啓輔です。
先日、中学校時代の同窓会がありました。
私は生まれも育ちも大阪市内の東淀川区です。
その名門、大阪市立瑞光中学校の陸上部メンバーが中心となって
毎年スーパー銭湯の居酒屋で開かれている同窓会です。
今年は、おっさん 8 人が参加。
血圧が 180-130 になってヤバいとか、
髪の毛がますますピンチとか、
スーパーで高齢者割引の対象になったとか、
娘が洗濯物を分けよるとか、
娘がもう見向きもしてくれないとか、
嫁が弁当を作ってくれへんとか、
嫁と娘が結託して、自分の居場所がないとか、
サザエさん一家はなんであんなに仲がええんやろとか、
たわいない、情けない話で盛り上がります。
「おのへー (私の中学時代のあだ名です) の携帯電話、アンテナ付いとったな。」
という、3 年前の話を覚えていたヤツがいて、私は
「オレは今はスマホや。周回遅れのトップランナーや」 と反論するなど、
中年おっさんのグダグダ話は尽きません。
そんな中、今でもバイクのモトクロスを続けているヤツが、
「この前の大会では、65 歳の先輩にまだまだ追いつかれへん」
という話をしていました。
当然ですが、同級生なので、みんな同い年。
同い年の彼が、今でもモトクロスの大会に出ていること自体、スゴイですが、
さらにその先輩に、65 歳でモトクロスを続け現役でバリバリ活躍しているかたが
おられることに、大きな刺激と感動を覚えました。
ひるがえって、たいした特技も無く、趣味と言えば新聞折り込み広告の研究ぐらい、
最近ではラジオ体操も五十肩でうまくできない自分。
飲み放題コースの最後に出てきた手羽先と牛タンを、
もうほとんど食べられないおっさん 8 人。
私は静かに手羽先の山を見つめながら、
「オレも何かしなければ・・・・」 と人知れずつぶやいていたのです。
長い前振りとは全く関係なく、
今日のテーマは、「発達障害ってなんだろう?」 です。
●ハートパーク~こころとこころのふれあい広場~
1 月 31 日、「ハートパーク~こころとこころのふれあい広場~」 に参加しました。
これは、精神障害の理解促進をめざす社会福祉法人 「息吹 (いぶき)」 さんが
毎年開催している恒例講座です。
今年は 「発達障がいって、なんだろう? ~特性の理解と疑似体験をしてみよう~」
と題し、社会福祉法人北摂杉の子会の研修相談支援室 PASSO 主任で
臨床発達心理士の大澤佳世子さんを講師に迎え、萱野北小会館如意谷の里で
開催されました。
会場では、当事者やご家族の方、民生委員・児童委員さん、学校の先生、
支援機関の職員さんなど、多くの方々が熱心に聴講されていました。
今から 10 年前の平成 17 年(2005年)に 「発達障害者支援法」 が施行されました。
法律上は、
「自閉症、アスペルガー症候群その他広汎性発達障害、学習障害、
注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって
その症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。」
という、かなり難しい言葉で定義されています。
大澤先生は、その発達障害を
「生まれつきの脳のタイプの違いで、理解したり見えたり、聞こえたりする仕方に
違いがあります。そのために、人とやりとりしたり、コミュニケーションをしたり、
注意を向けたり、学習することに困難があります。」
とわかりやすく解説し、
生まれつきの脳の機能の違いによる能力の偏りによる障害なので、
よく誤解されている親の育て方や環境によるものではないことを強調されました。
実際、この誤解で苦しんでいる当事者や家族の方も多いです。
●発達障害の特性理解
また、従来は、「自閉症」 「高機能自閉症」 「アスペルガー症候群(AS)」などの
診断名を重視して対応も区別する傾向が強かったのですが、
最近では、異なる疾患単位ではなく、「自閉症スペクトラム(ASD)」 として
共通の障害をもつ連続体としてとらえる考え方が広がっているそうです。
その共通の障害は、「共通の三つ組み (みつぐみ)」 と呼ばれます。
具体的には、「社会性」 「コミュニケーション」 「想像力」 の三つの障害をもつ
連続体 (スペクトラム) ととらえる考え方です。
大澤先生は、「共通の三つ組み (みつぐみ)」 による当事者の苦しみを、
次のように紹介してくださいました。
(1)社会性
自閉症スペクトラムの人は、まず人とのやりとりや社会的な約束ごとが苦手です。
仲間にどうやって入ったらいいのかわからない。
休み時間の遊びや会話にどうやって入ったらいいのかわからない。
ゲームのルールや順番がわからない。
相手が怒っているか、喜んでいるか、退屈しているか、みんなどうしてわかるの?
その場の空気って、どんな空気?
「暗黙の了解」 などを理解することが、とても苦手です。
子どもは、小学校の高学年になる頃から、だんだんとグループを作るようになります。
しかし、社会性が乏しく、暗黙の了解が理解できない子どもは、
人の気持ちに配慮ができないことが多く、トラブルが絶えず、
そのためグループに入れず孤立していくことが多いです。
やがておとなになって社会に出たときも、同じことが繰り返され、
仕事がうまくできなかったり、孤立したり、仕事を辞めざるをえなかったりする例が
数多くあります。
(2)コミュニケーション
自閉症スペクトラムの人は、ことばを聞いて理解することが苦手です。
日本語だけど、外国語ぐらいわからない。早口で話されると、わかりにくい。
一度にたくさん話されると、一部の単語か最後の単語しかわからない。
落ち着いているときはわかる言葉も、パニックになったときには、
聞こえるけれどわからない。
よく似た言葉や同音異義語、慣用句は、説明してもらわないとわからない。
例えば、「ソレヲチャントソッチニナオシテオキナサイ」 が全くわからない
子どもさんもおられます。
ソレとか、チャントとか、ソッチとかが苦手なようです。
また、自分の意思を表現することが難しいです。
言葉でうまく伝えられない。感じているけど、表情に出ない。
困っているときに、笑ってしまうこともある。
言われたことと同じことを言ってしまう。
複雑な事情や気持ちは、うまく言葉で伝えられない。
頭の中で考えることと、話すことの区別がつきにくい。
なので、トラブルになってしまいます。
(3)想像力
自閉症スペクトラムの人は、見えないものごとを想像して理解することが難しいです。
初めての場所・人・活動は見通しが立たない。
急な予定の変更で、頭が真っ白に!! いつもどおりでないと、パニックになる。
「その場で見えない意味」 よりも 「その場で見える形」 で理解する。
その場の状況を読み取ることが苦手なので、記憶やいつものパターンに頼って
生活している。
一般の人には些細な変化でも、変化が多いとストレスが強くなって疲れる。
思考が堂々巡りする。こだわりがきつくなる。
また、感覚の感じ方のちがいも大きいです。
刺激が多すぎると、必要なものと関係ないものが区別できなかったり、
何かに注意を向けていると他の感覚に注意が向けられない人や、
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、痛覚など、感覚の感じ方が人と違い、
過敏になったり、鈍感になったりする人も多いです。
白ご飯が、「砂みたいで、食べられない」 人もおられるそうです。
一方、自閉症の人が得意なこともあります。
例えば、目で見て理解する力が強い。
記憶力が強い。
特定のことに対する興味の強さと集中力。
正確さを大切にする。
ルールが一定で、はっきりしていたら、それをきちんと守るなど。
エジソンやアインシュタイン、山下清画伯など、
天才科学者や芸術家の中には、自閉症だとされる人もたくさんおられます。
●相互理解に向けて
このように、発達障害の人一人ひとりの特性をよく理解し、
バリアフリーのための工夫や手立てを考えていくことが大切です。
例えば、イラストや写真など、目で見てわかるように伝える工夫、
ビジネスマナーなどの話し方を図解するなど、
話し言葉でのコミュニケーションを補う工夫、
過敏な聴覚をやわらげるヘッドフォーンや、
気持ちを落ち着けるための感触グッズ、
学校や職場でリラックスコーナーを設けるなど、
感覚の感じ方の違いへの配慮など。
このあと参加者は、発達障害の方々の世界を体験するワークに参加しました。
例えば、画面に数字の計算式が次々出て、それを計算しながら、背後に現れてくる
バナナの本数を数える。一度にたくさんの情報が入ってくると処理しきれない状況を
体験しました。
また、紙で筒を作ってそれを目に当て、反対側の目をつむり、
その状態で、部屋の中の物品を探します。
これは、「シングルフォーカス」 といって、発達障害の人は、部分にこだわり、
全体が見えなくなっている状況を体験できます。
さらに、当事者が、つらい体験や思いを語る DVD も上映され、
自分の子どもがいつ道路に飛び出すかわからないため、
必死の思いで子どもと自分をひもでつないで外出するお母さんが、
「ペットみたい」 と批判され、涙を流した体験などが語られました。
そして最後に、大澤先生の次のメッセージが、会場の多くの人に伝わりました。
「発達障害の人たちは、脳の働かせ方のチャンネルが 「ふつう」 の人たちと
違っているだけで、劣っているのではありません。
逆に、「想像する力」 を持ってうまれてきた人たちが、まず発達障害の人の世界を
想像し、理解し、尊重することが、相互理解の始まりです。」
大澤先生お勧めの冊子 「ええやん ちがっても ~広汎性発達障害の理解のために~」
(大阪府こころの健康総合センター発行) は、こちらからダウンロードできます。
このブログのイラストも、この冊子から引用させていただきました。
●障害者問題連続講座
箕面市障害者事業団による 「障害者問題連続講座」 が、
今年も快調に開催されています。
今年の全体テーマは、
「~就労支援制度の見直し、現場からの発信~」 です。
すでに 12 月 19 日に開催された第 1 回では、
「日本の障害者雇用・就労政策の現状と課題」 として、
法政大学名誉教授の松井亮輔先生に、日本や自治体の制度、欧米の動きを体系的に
ご紹介いただくとともに、国連障害者権利条約など最新の動きを興味深く
お話しいただきました。
連続講座は、今年度あと 2 回。
皆さま、ぜひご参加ください。
障害者問題連続講座第 2 回
テ ー マ : 「就労支援の現場、何が起こっているのか
~ 豊能北障害保健福祉圏域 (箕面市等) と
近隣の就業・生活支援センターでの取り組み~」
講 師 :下司 良一さん
(箕面市障害者事業団 就労支援課長)
井上 正治さん
(すいた障害者就労・生活支援センター長)
畑野 亮平さん
(とよなか障害者就労・生活支援センター主任就労支援ワーカー)
内藤 恵子さん
(豊能北障害者就労・生活支援センター主任就労支援ワーカー)
開催日程 : 平成 27(2015) 年 2 月 20 日 (金曜日) 18 時 30 分から 20 時 30 分
開催場所 : 箕面市立障害者福祉センター 「ささゆり園」 プレイルーム
参 加 費 : 無料 手話通訳・要約筆記・点字資料もあります。
障害者問題連続講座第 3 回
テ ー マ : 「自立支援法、総合支援法を通じて、就労移行支援事業は
何をなしえたのか、また何をなすべきなのか」
講 師 : 志賀 利一さん
(国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局研究部部長)
開催日程 : 平成 27(2015) 年 3 月 20 日 (金曜日) 18 時 30 分から 20 時 30 分
開催場所 : 箕面市立障害者福祉センター 「ささゆり園」 プレイルーム
参 加 費 : 無料 手話通訳・要約筆記・点字資料もあります。
たくさんの方々のご参加をお待ちしています。
詳しくは、こちら。
お問い合わせ : 箕面市障害者事業団
電話 : 723-1210
FAX : 724-3383
箕面市では、3月31日まで『明日くるかもしれない大災害!今すぐ始めよう!家庭の備え』の統一キャンペーンを実施中です。