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Channel: 部長ブログ@箕面市役所
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明日に怒って

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皆さま、こんにちは。
健康福祉部長の小野啓輔です。

今年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。


●悪質な差別落書き

ここ1年あまりの間に、箕面市内で、
非常に悲しい、悪質な「差別落書き」が、3件報告されています。
2件が、特定の国・民族に対する誹謗・中傷、
もう1件が、障害者に対する誹謗・中傷の内容です。

すでに、箕面市のホームページでも、取り上げられ、
人権文化部長のブログでも、触れられています。

もう一度、事実を振り返っておきます。
悪意ある差別落書きですので、見たくない、知りたくないという人も
おられるかもしれませんが、事実としっかり向き合うことも大切だと
思いますので、ご容赦願います。

(1)平成26年11月に、中央生涯学習センターの掲示板に、同センターの利用者団体である韓国語学習グループの会員募集ポスターが貼られていたのですが、そのポスターの「新会員募集中!」というキャッチフレーズのすぐ上に、黒の鉛筆で「チョウセン クサイ」と書きなぐられていました。

(2)平成27年1月に、箕面市役所本館ロビーに設置された待合ソファーの座面に、青のボールペンで「金くれサル カタワは くるな」と書かれた落書きが発見されました。

(3)平成27年12月に、市内の大規模小売店舗の多目的トイレにあるベビーシートに、差別落書きが書かれていました。このベビーシートには、日本語・英語・韓国語・中国語で注意事項が表示されていたのですが、韓国語の右側に「チョウセン用」、中国語の右側に「アホ チャイナ用」、赤ちゃんの絵の下に「金くれ」という落書きが、黒ボールペンで書かれていました。


●人間を否定する差別落書き

いずれも、特定の国・民族の人や障害のある人をさげすみ、「クサイ」「くるな」と
忌み嫌い、敵意をもって攻撃しようとする、蔑視と排除の意識が込められた
陰湿な差別落書きです。

この落書きを見た人が、どんな思いをいだくのか?

私は健康福祉部ですので、障害当事者のお話を聴く機会が多いです。

例えば、
この「金くれサル カタワは くるな」という言葉を見た市内の障害者のおひとりは、
「見たとたん、心が凍り付きました。ものすごく怖かった。自分が事故で障害者になって以来、普段はこの箕面のまちで、周りの人も暖かく、仲間の中で過ごしています。しかしこの落書きは、さげすむような、冷たい視線が私を突き刺してくる。自分が砕かれて独りぼっちになったような気持ちになった。それだけの力がこの落書きにはあります。決して許してはいけない。」
と、つらい気持ちを語ってくださいました。

また、障害者とともに働きともに生きる活動を長年続けてこられた団体のかたは、
「短い言葉ですが、人の心を切るそのことばに、私たちは憤りを感じ、その言葉を発した人のこころの「貧しさ」に深い悲しみを感じます。これは、人と人とがつながる豊かさを誇りとする私たちの街箕面にとって、見過ごすことのできないできごとです。」
と鋭敏に受けとめておられます。

傷つきおとしめられた人の心の痛み・涙・叫びと、
人をおとしめ傷つけた人の心の醜さ・暗さ・貧しさとが、
幾重にも重なって、人間を否定するこの卑劣な差別事件が、
私の心を打ち砕き、今も深い悲しみに、うちひしがれています。
また、強い強い怒りを感じ続けています。


 


●共生を否定する差別落書き

「差別落書きは、暗い暴力だ」と言った人がいます。

人に隠れて、誰かをけなし、誹謗中傷し、傷つけ排除する黒い気持ちを、
落書きという無記名で書きつけた人の、寂しさ、孤独。 
この落書きを書いた人が、これまでの人生で、
例えば障害者や在日韓国・朝鮮人のかたがたと、どういうふうに出会い、
どんな関係を築いてきたのか、または築いてこなかったのか。

昭和56(1981)年は、「障害者の完全参加と平等」をテーマとした
国際障害者年でした。
箕面市では、それから35年間にわたり、障害当事者をはじめ、
多くの市民・グループ・団体の皆さまの思いや努力と取り組みにより、
障害のある人もない人も、男性も女性も、様々な生まれや国籍の人も、
いろんな年齢の人も、誰もが排除されることなく、互いに認め合い、
ともに生きる社会こそが「あたりまえ」の社会であるという
「ノーマライゼーション」の考え方が拡がってきました。
また、障害のある人もない人も、ともに学び、ともに働き、ともに生きる
豊かな実践活動が、市内のあちらこちらで取り組まれています。

障害者や高齢者、マイノリティとされる人々が住みやすい社会は、
すべての人にとって住みやすい社会です。
逆に、障害者など社会的に弱い立場の人を閉め出す社会は、
弱くてもろい社会であるとも言われます。

一連の差別落書きは、差別語をもって人を排除し、
障害のある人もない人も、様々な生まれや民族の人も、
ともに生きていくことを否定しているものです。
そして、多くの人々が積み重ねてきた共生の思いと取り組みをも否定する、
箕面の豊かな市民社会に対する挑戦と言っても過言ではありません。


    

 

●不条理な苦痛を減らしたい

人権や差別に関して、
自分なりにいろいろと考えています。

自分自身の原点ですが、あくまでも、私の考えです。

私の考え方の基本は、
「不条理な苦痛を少しでも減らしたい」
というものです。
これは、私がまだ多感な高校生の思春期に出会ったある師匠の言葉
「不条理な苦痛を減らしていくこと。それが人類の進歩である」
に由来しています。
不条理な苦痛とは、自分に責任を問われる必要のないことから受ける苦痛
のことです。
当時、自分に背負わされていた様々な苦しみ・悩み-それがまさしく
不条理な苦痛でした。みずからの責任を問われる必要のないことから様々な
苦痛を負わされている人間の、その種の苦痛は減らさねばならない。
この言葉に出会ったときに、心が救われる思いがしました。

また、当時は理解していなかったのですが、この師匠は、
こんな言葉も残していました。
「不条理な苦痛を軽減するためには、みずから創造的苦痛をえらびとり、
その苦痛をわが身にひき受ける人間の存在が不可欠なのである。」

それから、年を重ね、少しずつ社会を見ていくと、
不条理な苦痛で悩み、傷つき、悔しい思いで涙をこぼし、
時には命さえも奪う事柄が、この世にはいっぱいあることを、
知っていくこととなります。

さらに、自分自身が他の人を傷つけ、差別し、不条理な苦痛を
人に強いていることがいかに多いか、にも気付かされていきます。

いずれも、たくさんの人との出会いと経験により、学んでいくものですね。

また、例えば障害者差別、部落差別、外国人差別、女性差別をはじめ、
様々なマイノリティ差別をこういう視点で照らしてみると、
いずれも不条理な苦痛で不当に傷つき苦しむ人間の抑圧と、
そこからの解放をめざす人間の熱い思いと輝きが、浮かび上がります。

このような不条理な苦痛を、少しでも減らしたい。
また、自分の中の、不条理な苦痛を人に強いる、憎悪や差別の意識構造を、
目をそらさず常に見つめながら、人として生き続け、
できれば、不条理な苦痛を少しでも減らす方向で生きていきたい。
これが、私のポリシーです。

そのためには、これからも様々な人と出会い、話を聴き、悩み、体感しながら
生きていきたいと考えています。

 


●明日に怒って、自分に怒って

差別に向き合い、差別を無くしていくことは、
まさに、不条理な苦痛を減らしていくことです。

今回の差別落書きは、私に多くのことを思い起こさせてくれました。

私が直接見聞きしたことだけでも、
例えば、かつて箕面市内で精神障害者通所施設への大規模な反対運動が
起きたこともあります。いわゆる「施設コンフリクト」です。
また、障害者を否定する大量の落書きや、「朝鮮人粛清セヨ」という
ホロコーストそのものの差別落書きが発見されたこともあります。
市役所内で、部落差別投書がなされたり、差別落書きが連続したことも
あります。
市の公共施設で、障害者への虐待が認定されたことも複数あります。
さらには、結婚差別や就職差別、入居差別など、様々な差別の実態は、
奥深く多様です。

事件の都度、再発防止をめざした取り組みは、当然なされ、
その思いや行動は、もちろん真剣です。
しかし、まだまだ人の差別意識や行動は、根強く厳存しています。
当然、私も含めて、市役所関係者も例外ではありません。
そして、市役所も、差別の実態に合った有効な啓発のあり方や、
一人ひとりの人権を生活の中で具体的に実現できる豊かな福祉政策を、
十分に創り出せていません。

今回、このブログを書きながら、
多くのことが、今も自分の心に突き刺さります。
自らの非力さを痛感しています。
そんな自分自身に怒って、明日へのエネルギーにしたいと思います。


もちろん、希望は、あります。
世の中、捨てたもんじゃない。

例えば、先に紹介した障害者市民のかたは、
「金くれサル カタワは くるな - この差別落書きの横に私が車いすで並び、片手・片足のない、ありのままの私のこの身体を市民にも見てもらって、差別の不当性を訴えたい。差別落書きがどれほど私たちの心を傷つけるか、落書きの行為者に訴えたいし、市民の皆さんに理解してほしい。」
とまで発言されています。この言葉を聞いたとき、私はまさに心が震えました。
その志の高さと強さにひれ伏し、この人にここまで言わせてしまったことに、
涙が出ました。

また、箕面には、それぞれの思いをもって、
ともに生きる社会を決してあきらめずに、今もまさに歩みを続けておられる
多くの市民や団体が、しっかりとあります。
特に、障害者と健常者が実際に関わり合い、時にはトラブルも起こし、
怒り、悩み、もがきながらも、日々関係を深めていくという、
あたりまえの人間関係をあたりまえに追求し実践されているグループが、
数多くあります。
ともに学び、ともに働き、ともに生きる地域社会、そのネットワークは、
ゆるぎない箕面の誇りうる宝物であり、差別に決して負けない
明日への希望だと、私は思います。


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