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デング熱と蚊の対策

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こんにちは。
健康福祉部長の小野啓輔です。

前回のブログで、「書き出しクイズ」をご紹介しました。

それぞれの文学作品の書き出しから、書名と作者を当てる
早押しクイズです。
今日は、その正解から。

第1問
*祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、
   盛者必衰のことわりをあらはす。
 
正解は、『平家物語』です。
作者は、諸説あるようですが、
信濃前司行長(しなののぜんじ ゆきなが)の作という記述が、
徒然草にあるそうです。
平家の全盛から滅亡までの長編物語。
琵琶法師により語り継がれる口承文芸の傑作でもあります。

第2問
*ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。

正解は、『方丈記』です。作者は、鴨長明。
「淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、
久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、
またかくのごとし。」と続く、
鎌倉時代を代表する無常観の随筆文学です。

方丈記と平家物語の時代は、
大火、竜巻、飢饉、大地震、そして戦乱の世などの災厄が続き、
まさに「不安の時代」とされています。
不安の時代を生きる哲学として、
諸行無常の随筆と物語が生み出されたのでしょうか。
どこか、現代に通じるものが、ありそうです。

第3問
*幸福な家庭はみな同じように似ているが、不幸な家庭は不幸なさまも
  それぞれ違うものだ。

正解は、『アンナ・カレーニナ』。作者はトルストイです。

文豪トルストイが、そのモラル、宗教、哲学のすべてを注ぎ込んで
完成した不朽の名作と言われます。
ロシア文学は、登場人物の名前が覚えにくく、文章も長くて難解、
私は敬遠しがちでしたが、
『アンナ・カレーニナ』は、かなり読みやすいです。
なお、冒頭の書き出し。
ロシア語の原文では、「幸福な家庭」は複数形、「不幸な家庭」は
単数形で記述されているのだそうです。

第4問
*ストラウスはかせわぼくが考えたことや思いだしたことやこれから
   ぼくのまわりでおこたことわぜんぶかいておきなさいといった。

正解は、『アルジャーノンに花束を』。
作者は、ダニエル・キイスです。
主人公は、知的障害者。
知能を手術で向上させるという独特の設定が、
人の幸福や成長、友情や恋愛、人間関係のありようを問い、
障害者差別の深層を描き出します。
人間の心、潜在意識の闇を一貫して書き続ける作家
ダニエル・キイスの原点とも言える小説です。
私が初めて読んだのが、20年以上前。
内容といい文体といい、数多くの衝撃を受け、
未だに消化できずに苦悩するテーマが、数々あります。

こうしてみると、4問とも、重いテーマの本ばかりでしたね。
次の機会にはぜひ、お気楽・明るい名作書き出しクイズに
挑戦してみます。

ということで、前書きとはまったく関係なく、
今日のテーマは、「デング熱と蚊の対策」です。

●デング熱にご注意

去年の夏に、約70年ぶりに国内で感染が広がり、
大きな注目を集めた「デング熱」。
今年も、引き続き、注意が必要です。

「デング熱」は、デングウイルスを持った蚊に刺されて発症する
感染症です。
蚊に刺されて2日~2週間ほどで、急な発熱とともに頭痛、筋肉痛、
目の奥の痛み、関節痛、皮膚の発疹などの症状が現れます。
人から人へ直接感染することは、ありません。
現在、有効な抗ウイルス薬やワクチンはなく
対症療法が主体となります。
症状は1週間程度で回復しますが、
まれに、生命を脅かすデング出血熱に発展する場合もあり、
注意が必要です。
蚊に刺されて、急な発熱、頭痛等の症状が出た場合には、
かかりつけの医療機関を受診してください。

世界的には、熱帯・亜熱帯地域で流行が続いており、
WHOでは、毎年5000万~1億人が感染していると
推計しています。
日本から東南アジアや中南米などの流行地域へ旅行し、
旅行中にデングウイルスを保有している蚊に刺されて感染し、
帰国後発病する患者が増えており、
大阪府内でも、毎年このような輸入感染症例が発生しています。

国内では、平成25年(2013年)の夏に日本を訪れたドイツ人が
デング熱に感染していたという症例が報告されていましたが、
その後デング熱の発生をうかがわせる事例はありませんでした。
しかし、まさに去年の夏、平成26年(2014年)の8月下旬以降、
海外渡航歴がなく国内で感染したと思われるデング熱の患者が
次々と報告されるようになり、以後162名の国内感染症例が
確認されました。
感染した人のほとんどは、東京都の代々木公園や新宿中央公園などを
訪れ、蚊に刺されて感染したと考えられていますが、
患者の居住地は全国に散らばっており、
大阪府においても、同年9月2日、代々木公園を訪れた府民3名の
感染が確認されました。

この感染拡大は、秋頃に終息しました。
しかし、今年になって、デング熱に海外で感染して日本で発症した患者報告数が
80人を超え、過去最多のペースになっています。
今後、夏の蚊の発生時期を迎えて、引き続き、国内感染の危険が
高まると考えられ、警戒が必要です。

余談ですが、この「デング熱」。
「てんぐ熱」と思い込んでいる人も多いようですが、
鼻の長い「天狗(てんぐ)」とは、全く関係ありません。

一説によると、『デング』はスワヒリ語のことばがスペイン語に
入ったもので、もともと人が霊魂に取り付かれたように見える
「けいれん」を表す言葉のようです。
また、イギリスでは「ダンディ熱」と呼ばれ、
英語の「ダンディ」にあたるスペイン語「デングエロ」が語源と
され、強烈に痛む背中をかばうあまり、背筋を伸ばした歩き方が
「ダンディ」に見えてしまうことからこう呼ばれるようになったという説もあります。
いずれにしろ、重症化すると体の節々に激痛が走り、
非常に痛い病気であることから名付けられたようです。


●大阪府による対策

デング熱は、
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」
による、「第4類感染症」に分類され、
国・大阪府・市町村で連携して対策を進めることとなっています。

厚生労働省のホームページは、こちら
大阪府のホームページは、こちら
箕面市のホームページは、こちら

特に、デング熱をはじめ、感染症の発生予防及びまん延防止の
実施者である大阪府では、大阪府感染症予防計画等に基づき、
健康医療部医療対策課や各地の保健所、環境農林水産部などが、
具体的な対策を進めています。

例えば、蚊の補集調査。
大阪府では、平成15年(2003年)から毎年の夏に、
府内の市街地で、蚊のサーベイランス(捕集調査)を実施し、
蚊がウエストナイル熱ウイルス、デング熱ウイルス、
日本脳炎ウイルス等を保有していないかどうかを
継続して監視しています。

平成26年度(2014年度)も、6月から10月まで年8回、
府内の15か所において、合計2,621匹の蚊を捕集し
検査を実施しましたが、
フラビウイルス属(デング熱や日本脳炎を起こすウイルスの属)の
ウイルスを保有している蚊は、検出されませんでした。

また大阪府内の診療所や病院などの医療機関で
デング熱が疑われる患者が発生した場合、
医療機関から最寄りの保健所に届け出る体制が
確立しています。
保健所は、疫学調査を実施すると同時に、
デング熱の検査を大阪府立公衆衛生研究所へ依頼します。
検査結果は速やかに保健所から医療機関へ通知され、
感染源の特定や、まん延防止策が実施されます。
すべての流れは大阪府で一元的に調整対応されており、
感染実態の把握と対策に生かされています。


●蚊に刺されないために

デング熱は、デングウイルスに感染した患者を蚊が吸血すると、
蚊の体内でウイルスが増え、その蚊が他者を吸血することで
感染します。
デング熱を媒介する蚊は、海外では主に「ネッタイシマカ」と、
「ヒトスジシマカ」ですが、
日本国内では「ヒトスジシマカ」に刺されて感染します。
この蚊は私たちの身の回りにごく普通に生息しており、
人が刺される機会も多いです。

【ヒトスジシマカ】
背中(中胸背板)にある一本の白い筋が大きな特徴

また、蚊が媒介する感染症としては、ほかにも
日本脳炎やチクングニア熱、ウエストナイル熱などもあります。

詳しくは、大阪府のホームページへ。

デング熱を含むこれら感染症を防ぐためには、
蚊に刺されないように注意する必要があります。
特に、蚊が活発に活動する夏場(5月中旬から10月下旬)は、
以下のことに注意してください。

*野山や公園など、蚊に刺されそうな場所に出かけるときは、
   長袖・長ズボンを着用し、素足でのサンダル履き等は避ける。
*虫除け剤等を使用するなど屋外だけでなく、屋内でも蚊に
   刺されないように注意する。
*室内への蚊の侵入を防ぐため、窓際に蚊取り線香をセットする。
  蚊帳なども有効。
*ベランダや家の周りで水が溜まり、蚊(ボウフラ)が発生しそうな
   植木鉢の受け皿やバケツ等は片付ける。


●蚊を駆除するために

デング熱の感染源となる「ヒトスジシマカ」は、
5月中旬から10月下旬までが活動期間です。
中でもヒトスジシマカが発生しやすい梅雨時から夏にかけてこそ、
産卵やふ化を防ぐことが重要と言われています。

特に、ヒトスジシマカは、小さな水たまりを好んで産卵します。
産卵後、水中で幼虫、サナギとなり、10日間前後で成虫になります。
産卵できる水たまりをなくすか、産卵されても成虫になるまでに
水たまりの水を捨てれば、成虫の発生を防ぐことができます。
そのため大阪府では、府民の皆さまに、
「住まいの周囲の水たまりをなくす」
「不用意に水をためない」ことを呼びかけています。

     

例えば、

*植木鉢やプランターの受け皿などは、たまった水を
   こまめに捨てる。
*バケツや壺など、庭やベランダなどで雨ざらし状態に
  なっている用具や容器がないか、チェックする。
   バケツなどは使用しない時には伏せておく。
*弁当の殻や食品容器、ビニール袋や空き缶、ペットボトルなどを、
  植え込みや草むらに放置しない。、
*古タイヤや支柱立てなども、空洞部分に水がたまりやすい。
*雨水マス、雨を除けるために被せたビニールシートの窪みや
   隙間にたまった水、廃棄された機械のフレームにたまった水
   などにも幼虫が発生する

できれば、1週間に1度、住宅周辺に散乱している雨水が溜まった
容器を逆さにして水をなくすなど、たまり水を取り除けば、
たとえヒトスジシマカが産卵していても、
成虫になる前に防除できます。

市の公共施設では、蚊の成虫が潜む場所をなくすため、
雑草や下草刈りなどの清掃の実施、
幼虫の発生源をなくすため、水が溜まるゴミなどの片付け等、
定期的に害虫を駆除し、衛生管理を図っています。

また、箕面市内では、多くの自治会やNPO団体、個人などが、
身近な公園や緑地、道路などを清掃する活動を、
地道に続けておられます。
誠に頭の下がる思いですが、こういった地域の活動が、
環境美化とともに、蚊が媒介する感染症の予防にも
つながっていることを、改めて認識し、
心から敬意と感謝を申し上げます。

デング熱のほかにも、アフリカ等で流行しているエボラ出血熱、
韓国で感染拡大しているMERS(中東呼吸器症候群)、
ヒトヒト感染が心配される新型インフルエンザなど、
気になる感染症のニュースも、マスコミを賑わしています。
グローバリゼーションが進んだ現代、
感染症は、もはや一国の問題ではない。
かつ、様々な患者への差別や偏見を防ぐことも含めて、
正しい知識と適切な予防策が、求められています。

感染症対策全般は、こちら
 

箕面市では、7月31日まで『自治会に入ってないかた・地域に自治会がないかた 今すぐ自治会に加入してください・自治会を結成してください!』の統一キャンペーンを実施中です。


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