こんにちは、上下水道局の武藤です。
季節外れの台風6号が日本列島に接近しましたが、近畿地方では幸い大きな被害もなくほっとしています。それにしても5月に台風とは通常では、8月の終わりから9月にかけて接近しますが、最近の天候は季節感がなくなりつつあるように思います。
さて、今日のブログですが、今日的な課題として、高度成長期に整備されたインフラが今後一斉に高齢化を迎え、社会資本と云われている上下水道・道路・橋梁・鉄道などのインフラ施設の更新についてテレビやニュースで話題になっています。
今回は、上下水道における施設や配水管、下水道管渠など老朽化に伴う長寿命化や耐震化の対策はどうなっているのか。出水公営企業管理者の4月ブログでも少し触れられていた「上下水道施設整備基本・実施計画」に関してもう少し詳細な内容を説明し、上下水道事業における更新や施設の統廃合に関する取り組みなど紹介したいと思います。
○平成26年度末に「箕面市上下水道施設整備基本・実施計画」を策定
上下水道施設や管路の耐震化・更新を計画的かつ効率的・効果的に実施する計画として、中・長期的に概ね20年間(平成27年度~平成46年度)を見通した「箕面市上下水道施設整備基本・実施計画」を策定しました。なお、この計画では、インフラの長寿命化の観点も考慮し、老朽管・施設の更新・耐震化、更に水需要の動向や施設統廃合も検討し財政収支も絡めて検討をしました。
1.水道事業
事業の整備方針は、「施設の配置・配水区域の見直し」「システムの機能強化」「施設・管路の計画的な更新」の3項目を基本に設定し、具体的な施設整備計画として、1.施設の統廃合、2.配水区域再編成に伴う管路整備、3.受水・送水機能の強化、4.配水機能の強化、5.施設・管路(108㎞)の更新・耐震化を整備する内容としています。なお、平成25年度(2013年度)末の管路敷設延長は494.3kmあり、法定耐用年数(40年)を超過している管路が約30パーセント(約146km)あります。
○将来の水道施設配置施設として、現在の24施設を17施設に統廃合
主には、広域化推進の一部として大阪広域水道企業団の千里浄水池内に共同ポンプ施設を整備し、現在ある船場東受水場の機能を移転するなど配水地や取水施設を統廃合します。
○受水・送水、配水機能の強化について
受水・送水管の機能が停止した場合でも、供給を継続(断水を避ける)できるよう受水・送水管の二重化・二系統化や配水池間のバックアップにより機能の強化を図るもので、具体的には、配水池間に連絡管を整備します。
また、配水区域のブロック化や配水管のループ化により配水機能の強化を図ります。配水幹線の配置計画としては、国道423号(新御堂筋線)と国道171号でクロスした東西南北を4ブロックに区分しています。
( 二重化・二系統化、ブロック化・ループ化のイメージ図)
○事業費について
施設の統廃合に係る整備費や受水・送水・配水機能の強化等20年間で約162億円と試算しています。主に更新や耐震化に係る費用が全体の概ね9割占め約147億円となっています。(約1年当たりの概算事業費は8.1億円)
【20年間の整備費用】
2.水道事業の財政収支見通し
今後(20年間)の経営見通しとして、純損益については20年後の平成46年度(2034年度)まで、黒字を確保できる見込みです。
簡単に云いますと、1年当たり8.1億円の更新に要する財源を確保しつつ現行の水道料金を維持することになります。なお、後年度は施設・管路整備に伴う減価償却費が増加し利益が減少します。(H27年度(2015年度)の純利益約2.4億円→H46年度(2034年度)約0.5億円に減少します。)
3.料金回収率の推移
(※料金回収率とは、水道料金で、供給に伴う経費が賄えるのかどうかの比率で、100パーセントを切ると逆ザヤが発生します)
料金回収率は、平成42年度(2030年度)までは100パーセント以上をキープできる見込みですが、平成43年度(2031年度)以降は100パーセントを下回って推移する見込みです。
しかし、更新費用の建設改良資金(管路や施設整備のため事業資金)は起債や内部留保資金で確保できる見込みです。なお、平成36年度以降、企業債借入額が企業債元金償還額を上回るため、企業債残高は増加します。
4.下水道事業
整備の方針は、「国からの交付金を活用」「長寿命化対策による計画的な施設更新」「下水道システムの機能強化」の3項目を基本に設定し、整備に必要な財源を確保するため国の交付金支援制度を最大限活用し、老朽化対策については「長寿命化支援制度」、耐震化については「総合地震対策事業」を活用していきます。
なお、平成25年度末の管路敷設延長は536kmあり、これら管路の25パーセント約134kmが今後10年間で耐用年数(50年)を超えます。
○管路の長寿命化事業
長寿命化支援制度は、事故等の未然防止及びライフサイクルコストの最小化を図る目的としており、下水道施設の点検・調査結果に基づく健全度を判定し、計画を策定しました。具体的には、点検・調査はテレビカメラにより管路内調査をおこない、その結果を基に健全度を診断し、修繕・工事の対策箇所を特定します。
計画の進め方は、国の研究機関が示している経過年数毎の健全度予測式(ワイブル分布式)によるものを使用し、汚水・雨水を9つのグループに分け、管内調査を敷設後、45年目、63年目、75年目、88年目にそれぞれ実施し、健全度推移曲線に基づくそれぞれの改築率を定め事業費を算出しています。
※ 健全度予測式
○管路の耐震化事業
国の交付金事業の「総合地震対策事業」を活用し、避難所や防災拠点、要援護者関連施設など(これらを重要な排水施設と位置づけ)について、調査(テレビカメラ等)・耐震診断を実施し耐震性能が不足する管路について耐震化を行うことにより、重要な排水施設と終末処理場を結ぶ管路の流下機能を確保し、バックアップ対策や機能強化図ることを目的としており1期を5年計画として2期10年間で実施していきます。
○事業費について
長寿命化、耐震化事業及び萱野汚水中継ポンプ場の廃止に伴う自然流下幹線管路の整備や流域負担金など、20年間で約83kmの汚水・雨水整備する費用が約184億円となりました。(1年当たりの概算事業費約9.2億円となります)
【20年間の工事予定延長(単位:㎞)】
【20年間の整備費用】
5.下水道事業の財政収支見通し
今後(20年間)の経営見通しとして、純損益については20年後の平成46年度(2034年度)まで、黒字を確保できる見込みです。
同様に、1年当たり約9.2億円の更新に要する財源を確保しつつ現行の下水道料金を維持することになります。
6.経費回収率の推移
経費回収率は、20年間100パーセント以上を堅持する見込みです。
更新費用の建設改良資金は国の交付金及び起債や内部留保資金で賄える見込みで、起債の償還金より借入金が少ないため起債額も減少します。
これは、昭和42年に下水道事業を着手して、下水道普及率が概ね20年間で約90パーセント近く到達したもので、競艇事業の財源などにより整備に係る初期投資が早く終えたので、面的整備に必要な資金が起債の繰り上げ償還にあてることが出来たものです。
(※ 経費回収率とは、下水道料金で、下水処理に伴う経費が賄えるのかどうかの比率で、下水道事業については継続して100パーセントを上回り逆ザヤ状態は既に解消しています。)
箕面市では、7月31日まで『自治会に入ってないかた・地域に自治会がないかた 今すぐ自治会に加入してください・自治会を結成してください!』の統一キャンペーンを実施中です。