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認知症行方不明者 年間 1 万人

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こんにちは。健康福祉部長の小野啓輔です。

NHKドラマ 「サイレント・プア」 終わっちゃいました。

最終回は、恋愛観やらドラマ論やら防災論までも含めて、
かなり多様な意見を生み出しているようです。
私としては、とても勇気と希望をもらったドラマなのですが、
区役所の地域福祉課長がモテモテなのが、
なんか、腹立ちます・・・。うらやましい・・。

今日のテーマは、「行方不明高齢者」 です。


●認知症行方不明者 年間 1 万人

今年になって、「認知症などで行方不明になり身元不明の高齢者」 について、
テレビや新聞などで注目され、全国で話題になっています。

その実態は、全国の都道府県で集計中なので、まだ正確にはわかりませんが、
例えば、毎日新聞社の調査によると、
平成 20 年度(2008 年度)から平成 25 年度(2013 年度)の 6 年間で、
認知症などで警察に保護された高齢者で、地方公共団体が介護施設に
暫定入所させるなど緊急一時保護された人は、
政令市、県庁所在地市、東京 23 区の計 74 自治体で 546 人。

また、NHKは今年2月に、全国の警察本部を対象にアンケート調査を実施。
その結果、平成 24 年(2012 年) 1 年間に認知症やその疑いがある人が徘徊などで
行方不明になったとして警察に届けられた人は、全国で延べ 9,607 人。
このうち、死亡が確認された人は 351 人。
その年の末の時点でも行方不明のままの人は 208 人と発表しています。

さらに、警察庁によると、平成 25 年度(2013 年度)に認知症で行方不明になったとして
届けがあった人数は、1 万 322 人。前年度より 715 人(7.4%)増加。
このうち、警察で保護して市町村に引き渡した人数は、157 人。
今年 5 月末時点で身元が判明していないのが 13 人、となっています。

これらが、「認知症行方不明者 年間 1 万人」 と報じられた根拠です。
なお、警察庁の統計に原因 ・ 動機として 「認知症」 という分類が入ったのは、
平成 24 年度からです。行方不明者届受理時に届出人から、認知症または
認知症の疑いにより行方不明になった旨の申出のあった場合に記録され、
カウントされるようになりました。それまでは、「疾病関係」 と一括りに
なっていました。
逆説的ですが、認知症が、社会的に認知されるようになってきた結果です。

また、「行方不明者発見活動に関する規則」 も制定され、統計上の用語も
整理されました。
昔は 「家出人」 とされていたのが、今は 「行方不明者」 に、
また 「捜索願」 は「行方不明者届」 に統一されています。

さて、この 「認知症行方不明者 年間 1 万人」 のうち、約 97 %の人が
警察への行方不明届から 1 週間以内に所在が分かっています。
ただし、約 4%の人が、亡くなった状態で発見されています。
1 〜2 年後に発見された人も、2 年以上過ぎてから発見された人もいます。
しかしながら、氏名等もわからず、身元不明のまま、市町村が保護し、
何年も施設入所している人も、おられます。

こうした問題が、マスコミで報道されるようになってから、
報道の顔写真や映像を見た家族が問い合わせすることなどにより、
行方不明だった認知症の高齢者の身元が判明するケースが、
全国各地で相次ぎました。

 

 
【箕面市老人クラブ連合会 高齢者福祉大会】

●箕面市での状況は?

箕面市内での行方不明者数は、警察統計では発表されていません。
市では、「徘徊ほっとメール」 と 「行方不明者SOSネット」 という
行方不明者を捜す仕組みを、独自に構築しています。

詳しくは、市ホームページ 「徘徊ほっとメール」はこちら と 「行方不明者SOSネット」はこちら

または、過去のブログ「認知高齢者の徘徊」について と ブログ「豊かな長寿社会向けて」 をご覧ください。

徘徊ほっとメールと行方不明者SOSネットを活用して捜索した件数は、
平成 23 年度 : 11 件、平成 24 年度 : 6 件、平成 25 年度 : 9 件でした。

いずれも、市民 ・ 関係機関、公共交通事業者等からの通報や警察の捜索により、
無事保護されています。
なお 本件数は市に通報があった件数のみで、ご家族、親族だけで
探し出した場合などは含まれていません。
保護された場所は、箕面市内が大半ですが、中には吹田市内、大阪市内、
西宮市内などもあり、公共交通機関を利用して移動されている例もありました。


●具体事例 発生!!

また、マスコミ報道とよく似た事例として、
身元不明者として警察が保護し、箕面市に引き継がれた事例が、
最近では、平成 25 年度に 1 件、平成 26 年度に 1 件ありました。

平成 25 年度の事例については、ご本人との話を重ねる中で、
ご親族の下の名前を手掛かりに、当日のうちにご本人を特定することができました。

一方、平成 26 年度の事例では、
4 月2 日に市内の交番前で座り込んでいたところを箕面警察署が保護し、
問いかけに対し、ほとんど返事もなく、生年月日や住所も
答えられない状況でした。
本人がおっしゃるお名前だけを頼りに、市や関係機関で該当者を
かなり捜索したのですが、結局身元がわからないまま、疾病もあったため、
翌日に箕面市内の病院に保護入院となりました。
ちょうど、認知症行方不明者の保護に関して、マスコミ報道がさかんだった
時期と重なり、関係者一同、気を揉みながら、箕面市内の関係機関はもとより、
箕面警察署や大阪府とも連携し、大阪府内の全市町村、高齢者施設、
障害者施設、病院などに顔写真入りチラシをお送りするなどし、
様々な捜索手段を講じていました。
その結果、保護から 41 日目に本人を特定することができ、無事ご家族との
再会が実現できました。


 
【箕面市老人クラブ連合会 レクリエーション ・ スポーツ大会】


●制度・仕組み上の課題

認知症などによる行方不明者を保護した警察は、24 時間を超えて保護できない
きまりとなっているため、市町村に対応を引き継ぐことになります。
しかし、その後の処遇や、身元捜索、情報共有に関する法律や全国統一規定はなく、
現状では警察と市町村が、それぞれの判断で動くことになります。

警察では、名前がわかる場合は 「警察データベース」 で行方不明者届の検索が
可能ですが、名前が分からない場合は検索できず、
都道府県単位で独自の行方不明者検索システムを構築している例もありますが、
手作業の所もあり、全国統一のネットワーク化は、まだされていないそうです。

さらに近年では 「個人情報保護」 のため、個人が特定される情報は、
関係機関や広く市民間で公開や共有が難しくなっていることも、
捜索を困難にしていると言われています。

先にご紹介した箕面の事例では、最初にご本人がおっしゃったお名前は、
実は結婚前の旧姓でした。そのため、最初の捜索では、ご本人の身元を
捜し出すことができませんでした。
その後、市では、ご本人の顔写真入りのチラシを作成し、関係機関や施設、
病院などへの情報提供を試みました。
最終の決め手は、ご家族が手作りされた顔写真入りの 「尋ね人チラシ」 でした。
他府県の警察本部から大阪府警本部、そして箕面警察署に送られてきた
「尋ね人チラシ」 に気づいた箕面警察署の署員さんが、5 月 12 日に
箕面市役所に連絡し、みごとご本人の特定につながりました。
ご家族、府県を超えた警察間の連携、警察と箕面市との連携が比較的うまく
いった事例と言えるでしょう。

一方、一連のマスコミ報道を受けて、事態は動き出しています。
警察庁は 6 月 5 日に各都道府県警察本部に対し、
捜査用の身元確認照会システムの活用によって、名前以外の着衣や写真、
所持品などで検索可能とすること、
近隣の各警察本部間で、照会・連携を強化すること、
引き継ぎ先の市町村と、継続して連絡を取り連携を強化すること、
行方不明者の写真なども添えた閲覧用の資料を警察本部などに備えること
などの事項を通達しました。
今後、親族らが希望すれば、顔写真などをインターネットで公表することも
検討されています。

また、厚生労働省でも、都道府県や市町村、警察間などで情報を共有し
身元照会できるシステムの構築を検討、そのため、身元不明者の実態調査を
開始しました。


  
【箕面市老人クラブ連合会 レクリエーション ・ スポーツ大会】


●悲劇を繰り返さないために

私の中には、この問題に関し、非常に深い傷と思いがあります。
実は 4 年前に、行方不明になられた箕面の高齢者が、箕面の山中で
亡くなられたという誠に痛ましい事例に実際に直面しました。
市内の全自治会で写真付きのビラを回覧していただくなど、
祈る気持ちで捜索を続けていたのですが、悲惨な結果に、
申し訳なさと無力感にさいなまれました。
このことをきっかけに、「箕面市行方不明者SOSネット」 と
「徘徊ほっとメール」 は誕生しました。
また、別の事例で、今から約 50 年前に箕面市内で徘徊中に警察に保護された
当時 40 歳ぐらいのかたが、身元不明のまま警察から箕面市が引き継ぎ、
以来、知的障害者施設を経て高齢者施設に入所を続けておられる推定年齢
90 歳のかたが、今もご存命です。ほんとうにこれで良かったのか? 
ほんとうにベストを尽くしたのか? このかたの人生やご家族を思うと、
胸が痛む思いです。

悲劇を繰り返さないため、関係機関 ・ 関係者が力を合わせて、
取り組みを進めていきたいと強く思います。


●ビッグニュース!! おすすめイベント

テレビなどでも人気の脳科学者 「茂木健一郎さん」 と、年越し派遣村などで
社会問題に果敢に取り組む 「湯浅誠さん」 が、箕面で対談されます!!
マスコミにも注目され、様々な経験と知恵をお持ちのお二人が、
「貧困」 や 「生きづらさ」 などをキーワードに、生活に困っている人たちが
希望を持てる社会、豊かなつながりのある社会をめざして、
とことん語り合います。夢のコラボ対談が、箕面の地で実現しました。
この機会に、ぜひ来場ください。

日時 ; 平成 26 年(2014 年) 7 月 11 日 (金) 19 時開演
場所 ; 箕面市立市民会館 グリーンホール
参加料 ; 無料
申し込み ; メールに氏名と希望枚数を書いて、
         makomogi.minoh@gmail.com へ。
      または、
         らいとぴあ 21 (箕面市立萱野中央人権文化センター) へ直接来館。

主催; 実行委員会 (箕面市社会福祉協議会、箕面市障害者事業団、
           箕面市国際交流協会、暮らしづくりネットワーク北芝)

 

 

 

 

 

箕面市では、4月1日から8月31日まで統一キャンペーン『お家の耐震化チェック無料キャンペーンを実施中!』です。


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