皆様こんにちは。市長政策室の稲野です。
今年は例年より13日も早く梅雨明けし、強烈な日差しと猛烈な暑さが続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。急な豪雨や雷雨があったり、カンカン照りが続いたり、今年も厳しい夏になりそうです。適度な水分補給を心掛け、熱中症にはくれぐれも注意しましょう。
(真夏の花「サルスベリ」が咲きだしました)
さて、去る6月27日から7月12日までの間、1泊2日の行程で4班に分かれ、教育委員会の委員さんや事務局職員、小・中学校の先生方、総勢140名が秋田県由利本荘市の学校教育を視察しました。
すでに、丹澤教育委員、大橋教育委員、大橋子ども未来創造局長が報告されていますが、私も同行しましたので、今回は私なりに感じたことを報告いたします。
○由利本荘市の概要
私は、140名の視察団のシンガリ、D班35名のうちの1人として、先週の11日〜12日にかけて、梅雨まっただ中の秋田県由利本荘市へ視察に行ってきました。大雨・洪水警報が出るほどのあいにくの天候でしたが、子どもたちの明るく、まじめな姿勢と、先生方の熱心な指導を目の当たりにして、たいへん感銘を受けました。
由利本荘市は、平成17年(2005年)3月22日、本荘市と矢島町ほか6町(岩城町、由利町、大内町、東由利町、西目町、鳥海町)が合併してできたまちで、面積は本市の25倍、1,209.08平方キロメートル(東西約32.3キロメートル、南北約64.7キロメートル)あり、大阪府の2/3、沖縄県とほぼ同じ広さです。人口は約8万3千人で、本市の約2/3、人口密度は本市の2.5パーセントです。
その広大な市域に、小学校が17校、中学校が11校あり、約6千人の児童生徒が通学しています。本市の児童生徒数は約1万1千人(市立のみ)ですから、約半数の子どもたちが25倍の市域から通学している訳です。鉄道やバスを利用して、1時間近くかけて通学している子どもたちもたくさんいるらしいです。特に、冬場は相当な雪が積もる地区もあり、とても厳しい環境の中で、子どもたちが明るく元気に育っていました。
○秋田県の学校教育
秋田県は、学力・体力の全国調査で、常にトップを維持しています。今回、視察させていただいた由利本荘市は、その中でも、より効果的な取組を展開されている先進市として、全国的にも有名です。その具体的な取組を可能な限り多く、本市の学校教育に採り入れることが今回の主たる目的でした。本市もいろいろと取り組み、成果も出ていますが、トップに学び、実践できることは何でもやっていこうということです。
◆本荘南中学校
初日の7月11日(木曜日)は、朝8時に伊丹空港に集合し、秋田空港からバスで1時間ほどかけて、市の中心部にあるホテルに着き、昼食の後、全員で本荘南中学校を視察しました。
佐々田教育長以下、由利本荘市教育委員会の皆さんや和賀校長先生が出迎えていただき、本荘南中学校の学校経営方針等の説明を受けた後、校内を自由に見学しました。校舎は、5年前に建て替えられたばかりらしく、本市のとどろみの森学園や彩都の丘学園のように、最近の流れを汲んだ、とてもきれいで機能的なものでした。
(本荘南中学校の玄関)
(授業風景)
(由利本荘市教委・学校からのレクチャーと質疑応答)
すべての子どもたちが私たち一人ずつに「こんにちは」と元気にあいさつしてくれ、とても気持ちのいい、明るい学校でした。その中でも、特に感心したのは、どの教室も学級スローガンや生徒の作品掲示の仕方が統一されていて、どの子のロッカーをきちんと整理していて、机の上には必要なものしか出さず、まさに「学ぶ態勢」になっていることでした。
もちろん、授業も活気があり、みんなが積極的に発言していました。校長先生によると、「学習活動の統一」として、全クラスの授業で、「学習課題の提示」、「学習しやすい板書」、「学習のまとめ」を徹底しているそうで、システム化された授業を効率的に展開され、習ったことがキッチリと子どもたちに吸収されていくように感じました。
◆市長表敬訪問と「熟議」
その後、本市の具田教育長と大橋・中教育委員、指導主事と私で、由利本荘市役所へ表敬訪問を行いました。長谷部市長さんからは「箕面市から大勢の方が視察に来られ、市を挙げて歓迎している」旨と、「箕面の子どもたちのためにその姿勢で頑張るよう」激励のお言葉をいただきました。
夜は「熟議」として、ホテルの大会議室で由利本荘市の教育委員さん、PTAの役員さん、校長先生、指導主事さんなどと、総勢80名超により、「学習に対する前向きな意欲・態度を育むにはどうしたらよいか」について、徹底した議論「熟議」をさせていただきました。
これは、今回、視察させていただいた4班すべてに対して実施していただいたもので、広い市域の中から、多くの皆さんに駆けつけていただいただけでも、びっくりしましたが、さらに皆さんが「熟議」に慣れておられ、子どもたちの教育に対し、普段から熱心に取り組んでおられることに、つくづく感心いたしました。
「熟議」のまとめとして、由利本荘市の佐々田教育長から、「子どもは教師を見て社会を知る。教師は服装・態度をキチンとしなければならない」。また、「しっかりとした授業をすること。そのために、よい教材を作り、示すことが大切である」。そして、「学校はあこがれの存在でなければならない。訓練・チャレンジ・失敗の場であり、それを保障しなければならない」と持論を披露いただき、強い感銘を受けました。
(「熟議」のようす)
◆矢島小学校
2日目の7月12日(金曜日)は、メンバーが5班に分かれて、各小・中学校を視察しました。
私は、鳥海山の麓にある矢島小学校を視察しました。この学校は、今年で140周年を迎える旧矢島町のシンボルともいえる小学校で、築49年の古い校舎でしたが、ここでも感心することしきりでした。
というのは、昨日の本荘南中学校は「中学生だから、しっかりしている」との印象がありましたが、矢島小学校の子どもたちも、みんな元気にあいさつしてくれ、授業では先生と児童が真剣に向き合い、「発言するときは、席を立って椅子を机の下にしまい、みんなの方を向き、みんなが自分の方を向いて聞く姿勢になっているのを確認してから発言する」、「他の子の発言を批判しない」など、ルールが徹底しており、たいへん熱心な授業が展開されていました。
例えば、45分の1時限の授業が終わったら、次の授業の準備をしてから、移動したり、長休みの時間は遊びに行くなど、みんなで授業をつくっている感があふれていました。教室の掲示も、基本的なスタイルが統一されており、とてもわかりやすく合理的で、小学生でも、これだけキチンとできているのは、先生方の普段からの指導の結果だと、つくづく感心しました。
また、この学校の特徴として、「コミュニティスクール」と「ひまわり1万本プロジェクト」があり、地域の人々が学校運営に参画する「コミュニティスクール」では、由利本荘市の第1号として、金校長先生の情熱的なリーダーシップのもと、「きちんと校長に意見できる人」をあえて委員に選んで運営されているそうです。「ひまわり1万本プロジェクト」も校長先生の発案で、学校と地域が一体となって実施されていました。(詳しくは、矢島小学校のホームページをご覧ください。)
(矢島小学校の外観)
(キチンと整理された授業・掲示物・ロッカーのようす)
○ふりかえり
今回は、本市のすべての小・中学校から数名ずつ、校長・教頭なども含め、2割超の先生方が視察に参加されました。事務職の私とは違って、より専門的な立場から、子どもたちを引き付けるスムーズな授業の進め方や熱心な子どもたちの授業態度など、たいへん参考になる部分が多く、よい刺激と感動を受けられたようでした。
食事時やバス・飛行機の中でも、皆さん、しきりに感心されていました。私が聞いていて、印象に残っているのは、「小学1年生からキチンと授業に取り組む姿勢が指導されており、大阪では中学生になるとやらないようなことも、上級生になるにつれ、よりキチンとできているのに驚いた」とか、「箕面では同学年や同教科の教師同士で授業の進め方の調整はするが、全校が調整し、全市的にシステム化されているのにびっくりした」というものでした。
私は、学校現場の詳しいことはよくわかりませんが、参加された本市の教職員の皆さんには、たくさんの収穫があったと思いました。また、秋田県でも「いろいろな取組の積み重ねが今日の結果につながっている」とお聞きしました。本市でも「小中一貫教育」や「ステップアップ調査」など、様々な取組を進めてきており、これらの積み重ねが結果につながっていくものと感じました。今後いろいろな場面で、今回の成果やその活用方法が報告されていくことと思いますが、可能な限り早く、多く、箕面の教育現場で生かされることを期待しています。
【お知らせ】
○多文化交流センターのcomm caféがテレビで紹介されます
来る7月19日(金曜日)の朝7時45分からのNHKの番組「おはよう関西」で、comm caféが「世界各国の家庭料理が食べられ、外国人市民との地域交流の場」として紹介される予定です。ぜひご覧ください。
箕面市では、5月から8月まで、「オレンジゆずるバスで行こう!日曜・祝日はお買い物バスとして運行」統一キャンペーンを実施中です。