こんにちは、箕面市農業委員会事務局長の野澤昌弘です。
今年初めての部長ブログとなります。
2016年が穏やかで幸せな年になりますように。
本年もよろしくお願いします。
成人の日の3連休に京都に行ってきました。
日本政府環境局が19日に発表した2015年の訪日客数(推計値)は2014年に比べ47%増の1973万人となり、政府目標の「20年に2000万人」にほぼ達したとありました。
祇園精舎の響きを求めて訪れた京都でしたが、外国人の方が多い事に先ず驚きです!
おそらく中国や韓国の方々で顔だけ見ていると日本人と区別も難しく、渡月橋あたりで日本語で確実に話し返してくださるのは、人力車を引かれる”嵐”しかいない。どこも多くの観光客でにぎわっていました。
そんな外国人を含め多くの観光客への食のおもてなしは、京の食文化です。
京野菜の産地の1つ、亀岡市に立ち寄りました。亀岡は、盆地特有の昼夜の寒暖の大きい気候や、山のミネラルを多く含んだ水、そして栄養分を多く含む肥えた土など、野菜作りに良い条件もそろっており、ブランド京野菜の産地です。
しかし、この畑は、遠くまで遥かに続くなあ・・・。
農業は田畑を耕すだけではなく、これからの時代を創造する「生命総合産業」であると言われています。
「教育(農業体験、食育)」、「福祉(自立支援、高齢者福祉)」、「観光・レジャー・健康・癒し(体験農園、田舎暮らし)」、「環境(世界農業遺産、CO2削減)」、「食の安全」など、あらゆる産業との連携によって、域内に新しい「産業と需要」、そしてドラマを生み出す無限の可能性を持っています。
本年は、「それぞれの地域で誰もが活躍できる社会」の実現に向けて、地方創生が本格的に事業推進される年となります。地域でいろんなドラマが誕生することになるのでしょう。その物語の中心になる産業の一つが農業であることは確かです。
箕面市では冬野菜の出荷最盛期をむかえています。そして、「学校給食=地産地消」というスタイルが当たり前になりつつ・・・あります。
先月(12月)の中学校給食における箕面産野菜の使用率(地産地消率)は、40%の大台越えを達成しました!
12月に、全中学校の給食で使用した野菜総量が約6トン。
そのうち、箕面産(市内農家産と農業公社産をあわせて)約2.4トンが使用されました。
とりわけ品目内訳では、キャベツ(0.4トン)、だいこん(0.75トン)、にんじん(0.78トン)、白菜(0.37トン)の4品目は全て100%箕面産を調達することができました。
地産地消の学校給食を推進する前(~平成24年度まで)は、全国各地の産地から野菜を購入しており、箕面産使用率は、ほぼ0%でした。
本市の場合、農業は基幹産業でもなく、市街地と共存する都市農業です。栽培される野菜の量も、地方の産地の大規模経営には到底かないません。
認知度も低く、話題にもならなかった都市農業が脅威的な数値を記録しました。
農家さんが、毎朝、学校まで新鮮な野菜を届けてくれます。
「1中は、俺の母校やねん。」と話されるのは、
新稲地区で農業を営まれる稲垣恵一さん。
箕面市立第一中学校を昭和43年にご卒業されました。
「おそらく、どの農家さんも、自分の子どもや孫、その友達が通う地元の学校やし、野菜欲しい言われたら断れん。食べてもらえたら、うれしいよ。」
農家さんの地域の学校を大切に思ってくださる気持ちと行動に改めて感謝申し上げます。
献立を作成される学校現場でも、3か月後に収穫される箕面野菜を農家さんから個別に聞き取り、“献立作成”を行っています。
地産地消率40%達成は、畑(作る)と学校給食(使う)のリズムが意気投合してきたことも一因です。
生産、献立作成、調理現場の全ての総力が結集して創りあげたドラマです。
(ちなみに小学校での箕面産使用率も35%、小中一貫校36.8%となっています)
この地元産回帰の流れは、食育にも恵みをもたらしています。
学校では、地産地消給食を契機に、より地元箕面に密着した食育が実施されています。
小学校3年生の社会科の学習資料と児童の感想を、一部ご紹介します。
【学習資料】
子どもにとって、箕面産を食べてわかったこと、感じたことはたくさんあるようです。
級友と一緒に”食べる”という毎日の給食を通じて、ありがとうの気持ちを育む大切な機会が広がっています。
箕面市農業公社でも、毎日、冬野菜の出荷で大忙しです。
学校給食で使用する白菜が、軽トラックに積まれ、大量に収穫されていました。
これを学校毎にコンテナケースに入れて、翌朝、新鮮なうちに学校へ配送していきます。
今朝25日(月曜日)は記録的な寒さの影響で、早朝から「出荷野菜が凍ってる!」とバタバタする一幕もありました。
一方、農業して初めて分かるのが、かたちの悪い規格外野菜!
どんなプロ農家さんでも規格外はできてしまい、破棄されるか、朝市で規格外として安価な価格をつけるかです。
農業公社では、田んぼを畑にしてニンジンを栽培しました。
しかし、転作後の1作目は、田んぼであった影響で水気が抜けにくい「排水不良」の場所も一部あり、そこでは規格外のニンジンができてしまいました。
泥土のため、ニンジンが呼吸するために根を何本も土中に伸ばそうとするそうです。
形の極端に悪い規格外ニンジンは、皮をむいて調理することが困難なため、給食出荷は出来ません。これらは服部緑地乗馬センター(豊中市)に、馬の”おやつ”として買い取っていただいています。
国は農林水産業を成長産業とし、6次産業化を進める中で、その市場規模を現状の「1兆円」から平成32年に「10兆円」にすることとしています。
6次産業とは「1次(生産)×2次(製造・加工)×3次(流通・販売)=6次産業」という意味で、農業者自らの生産物を使って製造・加工、さらには流通・販売までを総合的、一元的に手がけ、付加価値を高め、収穫時期のみならず年間を通じて販売できるようにすることで、農林水産業を成長産業とすることをめざすものです。規格外の商品化もその1つです。
市場で評価されない規格外ニンジンも形さえ変えれば、
例えば、”ニンジンジュース”として売れるのになあ・・・
”ニンジン嫌い解消”を応援できるかもしれない。
もったいない。
規格外野菜を”逸品に!” ”定番メニューに!”
利用できるお知恵があれば、農業委員会 農業公社 農業振興課までお願いします。