こんにちは。健康福祉部長 小野啓輔です。
先日、箕面市障害者事業団の理事長 尾池良行さんが理事長を退任され、
感謝の集いがささゆり園で開催されました。
尾池さんは、障害者事業団の理事長を、実に21年余りの長きにわたり、無報酬で
お引き受けくださり、他に例を見ない障害者事業団の組織や諸事業を大きく
発展させるとともに、時代を先取りした社会的雇用制度の推進や、全国トップレベルの
一般企業への就労促進、障害者市民の職種開拓・職域拡大など、
数々の輝かしい実績を実現してこられました。
また、民間企業トップとしてのずば抜けた経営力と指導力、全国に広がる人脈の広さ、
職員を自由に活躍させ責任はしっかり取られるどっしりと構えた人間の大きさ、
一人ひとりへの気配りのすごさ。
どれをとっても、尾池さんの大きな人間的魅力・お人柄です。
これまでのご指導・ご協力に、心から感謝申し上げますとともに、
尊敬とあこがれの気持ちを込めて、
感謝の集いで工藤副理事長が挨拶された、参加者の誰もがうなずく言葉を引用します。
「接する人を魅了してやまない」
尾池さん、ほんとうにありがとうございました。
これからも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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【感謝の集いで挨拶される 尾池 良行さん】
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【尾池さん 感謝の集いの様子】
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【障害者事業団スタッフから、感謝の花束】
そんな尾池さんの大きなお人柄を前に、
前回のブログで「ブログ・スランプ」に悩んでいた私は、
自分の姿が、実にちっぽけな、小さなものに見えてきました。
また、良いことは重なるもので、
そんな折、心強いメールをいただきました。
なんと、遠く、埼玉県のかたからです。
「健康福祉部長の小野啓輔氏の更生保護についての記事を
私のブログに転載させて貰いました。
実にわかりやすい文章だと思います。
多くの人に更生保護についてもっと理解して貰いたいと思います。」
元々おだてに乗りやすい私は、大いに気を良くして、
再度、ブログに前向きに取り組んでいこうと決意した次第です。
ということで、今日のテーマは、前向きに
「障害者優先調達推進法」です。
●障害者優先調達推進法の成立
皆さんは、「障害者優先調達推進法」という法律ができたのを、ご存知でしょうか?
この法律、正式名称は、
「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律」です。
法律名だけで、「等」が4個も付いています。
行政文書では、「等」が重要。知る人ぞ知る真実です。
私も、かつてケースワーカー時代には、「拡大解釈機」と呼ばれ、
この「等」を最大限活用し、制度適用と社会資源の開発に努めたものです。
昔話はさておき、
人は、労働を通じて社会に参加し、その労働の対価として収入を得て生活します。
それは、障害のある人も同じです。障害のある人が自立した生活を送るためには、
就労によって経済的な基盤を確立することが重要です。
そのために、障害者雇用を促進する仕組みを整えるとともに、
障害者が就労する事業所等の仕事を確保し、その経営基盤を強化することも必要です。
障害者優先調達推進法は、このような趣旨から、
国や地方公共団体、独立行政法人などの公的機関が率先して、
障害者就労事業所等から物品やサービスを優先的・積極的に購入し
需要の増進を図ることを推進するために、必要な措置を定めたものです。
平成24(2012)年6月に成立し、平成25(2013)年4月から施行されています。
●障害者優先調達推進法の仕組み
障害者優先調達推進法自体は、本文11条、附則4条の短い法律です。
この法律のポイントは、次の諸点です。
国、独立行政法人及び地方公共団体等は、物品やサービスの調達に当たって、
優先的に障害者就労施設等から調達するよう努めるとともに、
以下の取組を行うこととされています。
(1)国は、障害者就労施設等からの物品等の基本方針を定める。
(2)各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、毎年度、国の基本方針に即して、
障害者就労施設等からの物品等の調達方針を作成するとともに、
当該年度の終了後、実績を公表する。
(3)地方公共団体(都道府県、市町村)及び地方独立行政法人は、毎年度、
障害者就労施設等からの物品等の調達方針を作成するとともに、
当該年度の終了後、調達の実績を公表する。
(4)国及び独立行政法人等は、公契約について、競争参加資格を定めるに当たって、
法定障害者雇用率を満たしている事業者に配慮するなど、
障害者の就業を促進するために必要な措置を講ずるよう努める。
(5)地方公共団体及び地方独立行政法人は、国及び独立行政法人等の措置に準じて
必要な措置を講ずるよう努める。
ここで、先ほどの法律名称「国等による障害者就労施設等からの物品等の
調達の推進等に関する法律」の、「等」の部分を、少し読み解いてみます。
1.「国等」
国、都道府県、市町村、独立行政法人、地方独立行政法人、特殊法人を含んでいます。
それぞれに責務の文言は、微妙な違いがありますが、
ここでは、地方公共団体の責務を見ておきます。
第4条「地方公共団体は、その区域の障害者就労施設における就労又は
在宅就業障害者の就業の実態に応じて、障害者就労施設等の受注の機会の
増大を図るための措置を講ずるよう努めなければならない。」
2.「障害者就労施設等」
優先調達の対象となる事業所が、「障害者就労施設等」です。
法律の定義と政令で要件が決められています。
具体的には、次の各事業所が対象となります。
(1)障害福祉サービス事業所等
a.就労移行支援事業所、b.就労継続支援事業所(A型・B型)、c.生活介護事業所、
d.障害者支援施設(就労移行支援、就労継続支援、生活介護を行うものに限る)、
e.地域活動支援センター、f.小規模作業所
(2)障害者を多数雇用している企業
a.障害者雇用促進法の特例子会社、
b.重度障害者多数雇用事業所
(障害者の雇用者数が5人以上、かつ、障害者の割合が従業員の20%以上、かつ、
重度障害者が雇用障害者の30%以上)
(3)在宅就業障害者等
a.自宅等において物品の製造、役務の提供等の業務を自ら行う在宅就業障害者
b.在宅就業障害者に対する援助の業務等を行う在宅就業支援団体
3.「物品等」
優先調達の対象となるのが、「物品等」です。
大きく「物品」と「サービス」が想定されています。
国は、これまでの実例から、弁当、制服等注文製造、部品などの「物品」と、
クリーニング、清掃、印刷、データ入力、包装・組立、発送などの「サービス」を
例示しています。
4.「調達の推進等」
障害者優先調達推進法には、優先発注以外にも、障害者の就業を促進する
新たな仕掛けが組み込まれています。
特に注目すべきは、公契約の競争参加資格を定めるに当たって、法定障害者雇用率を
満たしている事業者に配慮することを、国や地方公共団体の努力義務としたことです。
実は、箕面市はこの点に早くから注目し、総合評価方式の入札では、既に
障害者雇用率を加点項目に加えていました。
昨年度にはさらに一歩進んで、市のある業務の委託事業者を公募するに当たり、
法定障害者雇用率を満たしていることを応募の絶対条件としようと試みました。
しかしながら、この法律の附則で、国はその仕組みを3年以内に検討し必要な措置を
講ずることとされており、まだ国の仕組みが出来ていない段階で箕面市が入札の
絶対条件として先んじると、他の法律違反になってしまう恐れがあり、
顧問弁護士等とも相談の結果、断念したという苦い経験もありました。
それほどに、この条項は、障害者就労の新しいアプローチとして、
可能性が大きいものだと考えています。
なお、民間企業や個人事業主からも、障害者就労施設等への発注を促進するため、
税制上の優遇措置を講ずることも附則で規定されています。
国は、とりあえず、従来から時限措置で実施されていた固定資産を割増して償却できる
法人税・所得税の軽減優遇制度を、2年間延長しました。
詳しくは、こちら。
箕面市では、現在、この「障害者優先調達推進法」を最大限活用すべく、
様々な準備を進めています。
箕面市内には、対象となる障害者事業所は、約30か所あります。
それぞれが今現在提供できる物品やサービスの調査も終えています。
通り一遍の対応ではなく、今まで以上に、障害者事業所への発注が拡大できるよう、
発注の仕組みを工夫できないか、事業所側の提供可能物品やサービスをもっと
拡大できないか、民間企業にも発注してもらえる仕組みを工夫できないかなどなど、
さらなる知恵出しを模索しています。
この新しい法律をテコにして、
障害者市民の就労支援・促進の新しい分野をより一層切り拓いていきたいと
強く思っています。
皆さまのご理解・ご協力をお願い申し上げます。
●欄外雑記
ところで、前回のブログで予告した
私の「おもろネタの 恐ろしい トラウマ」ですが・・・
それは、今から18年前、平成7(1995)年のことです。
当時、保健福祉総合施設建設室の主査だった私は、
新しくできる保健福祉総合施設=みのおライフプラザの開設に向けて、
ハード建設の推進とともに、運営ソフトの調整も含め、
ライフプラザに関するありとあらゆる仕事をしていました。
その仕事の一環で、より多くの市民の皆さまに新しくできるライフプラザを
知っていただくというPR事業も行っていました。
なんせ、市役所の保健福祉部門がごそっと市立病院の隣に引っ越すのですから、
しっかりとPRしないと、大混乱を招きかねません。
そんな中、PRに行ったのが、老人福祉センター「松寿荘」でした。
当時の上司・係長は、高齢者の方にわかりやすくライフプラザを知っていただこうと、
演劇仕立てでPRすることを提案、私も含めて劇団チームが結成されました。
連日のハードな仕事の合間を縫って、シナリオもオリジナルで作成。至る所に
ギャグ満載の自信作「コント・ライフプラザ」が誕生したのが、本番前日です。
急いで衣装と小道具を作成し、リハーサルを始めたのが深夜。
必死でセリフを覚え、動きを練習しました。
そして、翌日の本番。舞台は松寿荘大広間。約150人の高齢者が見つめる中、
「コント・ライフプラザ」は、スタートしました。
ところが、練習ではあんなに面白かったギャグが、松寿荘では、全く受けませんでした。
セリフを言うたびに、大広間の150人が、水を打ったようにシ〜んと静まる光景が連続し、
わずか10分間の舞台が、途方もなく長かったのを、今でも鮮明に覚えています。
しかし、これだけなら、自分たちの舞台が未熟だったと反省し、さらに腕を磨くべく
前を向けるのですが、「コント・ライフプラザ」が大失敗したその後に、
続いて舞台に登場したのが、松寿荘館長による健康体操「水戸黄門」でした。
館長が、水戸黄門の扮装で、人生楽ありゃ苦もあるさの音楽に合わせて体操する、
実にシンプルな出し物ですが、館長が水戸黄門の格好をして舞台に登場しただけで、
150人の高齢者が大受けし、大笑いと拍手の渦が大広間にこだましました。
確かに「コント・ライフプラザ」は、「ライフプラザゆうたら」「あ〜あ〜 箕面駅前の
8階建の・・」「そら、サンプラザやがな〜」という、今考えると実に情けないオチでは
ありました。でも、何の練習も工夫も無く、ただ水戸黄門の格好をしただけのおっさんに
大負けしたことが、悔しくて悔しくて・・・。
これが、私の「おもろネタの トラウマ」となったのです。
以来、私は、おもろいことを言おうとすると、この時のトラウマがよみがえり、
今でも、夜な夜な、私の周りに とり付いて 離れないのです ・・・・ キャーー。
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【平成7(1995)年、翌年からライフプラザの開設に合わせてスタートする
「公共施設巡回福祉バス」をPRするため、
箕面駅前でバスの車掌さんに扮する筆者の姿(若〜い)。
これが、今の「オレンジゆずるバス」につながっています。】
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