こんにちは。病院事業管理者 重松です。
★ 病院の庭から
どこからとはなく、あの秋のいい香りが漂ってきます。病院の正面入り口の両サイドにある金木犀には蕾がちらほら。リハビリ訓練室の南側では、びっしりと。この香りに最も秋を感じるのではないかと思うのですが・・・
「秋」に草の冠をかぶせて「萩」ですから、秋の草花の王様はハギかもしれません。その証として、万葉集に詠われている花は、萩が141首で一位、二位は梅だそうです。
しかし、花の代表たる「桜」の字を充て「秋桜」とするコスモスの可憐さも無視はできません。コスモスの原は全国に名所があるのでしょうが、かつて九州高千穂の峰の麓に広がるコスモスの草原に遊んだ折りの爽やかな雰囲気は、雄大さも相まってなんとも言えない圧倒的なものがありました。
病院の庭には、歩行器を押しながらリハビリにいそしむ患者さんや車椅子に乗って散歩する患者さんを楽しませてくれる花々。ラベンダー、ランタナ、シオン。色づいた柿もありますが・・・
★ 平成25年度の決算の認定
昨日開催されました第3回市議会定例会で、平成25年度病院事業会計の決算が異議なく認定されました。
平成21年6月から、『地方公営企業法』の一部適用から全部適用に移行した形で経営形態を変更し、市立病院改革プランを遂行してきましたが、5年目にして黒字決算を達成することができました。
25年度においても人員を増員(24年度比、常勤職員31人増)し、入院業務を中心に体制を強化しましたが、それにより新規入院患者の受け入れを進め、317病床に対してその稼働率が95.9%と病院開院以来の最高率だったこと。内視鏡手術の設備の充実や手術室看護師の増員を図り手術件数が増加したこと。リハビリテーション職員の増員を図り実施体制を強化したこと。これらのことによって収益が増収したことが、黒字化の大きな要因です。
近隣の他の病院と比較してどうなのかと、議員さんからも質問がありましたので、豊能二次医療圏の自治体病院の、一般的な比較の手法による25年度の決算状況を示してみます。
豊中;8千万円 池田;▲6億3千万円 吹田;53万円
箕面;1億25百万円
これは、それぞれ市の一般会計からの繰入金(補助と考えてください)を組み入れての決算の数値です。この繰入金を除いた実質的な決算は次のとおりです。
豊中;▲14億5千万円 池田;▲10億円 吹田;▲8億円
箕面;▲1億35百万円
大阪府内の自治体病院(府立、大阪市立を含む)の中でも、赤字ではありますが、一番良い決算の状況となりました。
一般会計からの繰入金は、改革プラン策定前の平成20年度以前は平均約8億7千万円でしたが、現在は2億6千万円。これは今年度までのことで、27年度からは市の繰入金はゼロとなり、基本的に診療報酬のみで運営することになりますので、ますます独立採算の気運を高めていかなければならない状況です。
とはいいながらも、今年度は消費税率のアップや診療報酬のマイナス改定の影響で非常に厳しいものがありますが・・・。
★ 医療サービスの持続的な提供と経営基盤の安定は表裏一体
これまで経営の安定化のため改革・改善に努めてきましたのは、自治体病院としてこの豊能二次医療圏で医療サービスを持続して提供する体制を確固たるものにするために進めてきたものにほかなりません。市民の皆さんにとって市立病院は安心安全の砦であり続けたいのです。
医療は詰まるところ人・人材だと考えて進めて参りましたが、経営形態を変更する前と現在を比べるとこの5年で98人の常勤職員を増員いたしました。医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、医療ソーシャルワーカー、診療情報管理士などの追加採用を進めてきたものです。
人減らしで経営するのではなく、人を増やしてサービスの提供を増量するという考え方のもとで今日まで進め、経営基盤の安定を図って参りました。
医療サービスを提供し続けることと経営の安定は表裏一体、メダルのうらおもての関係だと常々思っています。
この間の取り組みが評価されたのか、8月末に開催されました全国病院事業管理者協議会において報告する機会を与えられました。
★ 病院・診療所の役割分担の強化
本年6月に成立したいわゆる『医療介護総合確保推進法』は、団塊の世代が75歳以上となる平成37年(2025年)を目途に、医療介護の提供体制の確保の方向性を定めたものです。これは19本の個別法律の改正で構成されています。その中で『医療法』も改正され、第6条の2に次の第3項が加えられました。
「国民は、良質かつ適切な医療の効率的な提供に資するよう、医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携の重要性についての理解を深め、医療提供施設の機能に応じ、医療に関する選択を適切に行い、医療を適切に受けるよう努めなければならない。」
? 法律文は解りづらいですね。目新しいことを言っているのではなく、以前から医療の世界では言い続けていることを明文化したものです。
前回、前々回のブログも含めてこれまでお願いしてきたことでもあります。
医療機関のそれぞれの機能・役割を理解していただき、それに合わせて受診をお願いしたいということです。
まずはご近所の開業医さんで受診し、紹介状を持って市立病院へ、そして検査や入院治療をし、病状が安定しましたら、ご家庭へ、また開業医さんや療養型病院へ紹介をする。
【医療連携推進のチラシ】
軽症の患者さんが地域の中核病院等へ集中し、外来診療に時間を要し、それから入院患者の治療に当たる、手術をする、そういう環境のもとで病院勤務医は疲弊し、辞めていく、あるいは他の病院へ異動する、そして医師不足を招き、地域の中核病院の役割を果たし得なくなる。そのような事例が過去に幾度となくありました。
今後ますます高齢化が進む中、確実に患者は増えていきます。前回のブログでもお示ししましたように平成37年には現在よりも入院患者は約1500人増え、しかも患者数の半数が75歳以上と予測しています。
増える患者さんに対して責任もって診療する体制を地域で創りあげていくためにも、開業医、市立病院や療養型病院の機能・役割をご理解いただいて、市民の皆さんの協力のもと、ともに地域医療の確立を図りたいと考えます。
★ 市民医療講座のご案内
最新の治療の情報や病気の早期発見、予防などについて市民の皆さんにお知らせし、ともに考える場として市民医療講座を開催しています。今年度の残りの講座は以下のとおりです。
1. 『助産師と学ぶ赤ちゃんの発達と運動』10月18日(土曜日)
2. 『緩和ケアってなに?』11月22日(土曜日)
3. 『転倒予防のリハビリテーション』12月13日(土曜日)
いずれも午後2時から4時まで。1と2はみのお市民活動センター、3は箕面文化・交流センターで開催します。もみじだよりやホームページ、チラシでお知らせしますので、ご参加ください。
講座の内容についても、ご要望がございましたらお寄せください。
★ ≪世界糖尿病デー 2014 箕面≫ 開催
11月14日(金曜日)午後2時から4時まで、市立病院リハビリテーションセンター1階で世界糖尿病デーを開催します。この日はインスリン発見者のバンティング博士の誕生日に当たり、国際糖尿病連合(IDF)の「糖尿病との闘いのため団結せよ」というキャッチフレーズのもと、開催するものです。
*糖尿病相談、*フットケア、 *栄養相談、 *血糖測定(先着30名)
是非ともご参加ください。
★ 人情料理小説『みをつくし料理帖』終わってしまいました
昨年4月のブログで紹介しました、じーんと感情移入してしまう、そして元気の出る高田郁『みをつくし料理帖』が第10巻をもって完結してしまいました。寂しい限りです。リクエストが強いのでしょう、登場人物のそれぞれのその後を一冊にまとめて、いつ発行するのか判りませんが特別巻が予定されているようです。まずは、それでいいかっ (^_^)
「食べる人の心と身体を健やかに保つ料理を作り続けるーーそのひと筋の道を、ただひたすらに歩いていく」女料理人 澪の成長物語・人情話です。
全10巻、秋の夜長に一挙にどうぞ! のめり込んでしまうこと請け合います。
★ 市立病院の澪さんたちが作った献立を紹介します
行事食を中心に紹介してみます。
☆平成25年12月22日 冬至で柚子メニュー
毎年冬至の患者食は箕面 止々呂美産のゆずを使用。鶏つくねやゼリーにはたっぷりの柚果汁を。
☆平成25年12月24日 夕食クリスマス
骨付きの若鶏もも肉はクリスマスの定番料理。妊産婦授乳婦さまには可愛いポテトの雪だるま付で。
☆平成26年1月1日 元日昼食
元日は尾頭付きの鯛、赤飯。煮しめも三が日を通して定番の品を。
☆平成26年3月3日 夕 ひな祭り
ひな祭りには雛寿司。子ども達にはこんな盛り付けを。
☆平成26年6月15日 夕 あじさい御膳
旬の鮎は病院で串打ちし焼き上げ。冬瓜と枝豆のくず寄せは涼しげです。
☆平成26年7月27日 夕 土用の丑
国産うなぎを使用。添えには病院の緑のカーテンの『ゴーヤ』を使用。
☆平成26年9月8日 お月見膳
ささみと豆腐でヘルシーに練り合わせたハンバーグ。飾りの輪切りゆで卵はまさにお月見!!。里芋のずんだ豆あんは絶品。
☆動けない患者さまのための刺し食
こんな工夫も! 整形外科の術後体位固定で動けない患者さま用の寝たまま、手一つで食べられる串さし食です。
★ 秋も盛り
この本は、俳句界の第一人者で箕面にお住まいの坪内稔典さんの『季語集』です。俳句に興味あるなしに拘わらず、気のむくままにページをめくると、生活や行事、時候、草花など、身近にあるものの説明をしてくれています。
これを読むと、情景とともに言葉の豊かさを得ることができるような気がしますし、言葉のもつ意味、背景などを知ることによって、より一層情感深く季節を旅することができるような気にもなります。
<紅葉狩り>の項目、滝道の紅葉にはまだ少し早いですが、こう記されています。
『私が住んでいる大阪府箕面市は滝と紅葉の名所である。滝への道が楓林になっており、観光客が林間に酒を煖(あたた)める。そればかりか、実は箕面の名物は紅葉の天麩羅だ。楓の葉を甘い衣で包んだ一種のカリントウだが、ちょっと変わった紅葉の風流としてなかなかの人気である。』 (p205)
箕面の滝のことも出てきます。季節の要素がコンパクトにまとめられたこの本を、一度ご覧ください。
秋もさかり。空は清澄。
秋を大いに満喫しましょう!!
箕面市では、10月20日まで『「滝ノ道ゆずる」が今年も出陣!ゆるキャラ(R)グランプリ2014』の統一キャンペーンを実施中です。