皆さま、こんにちは。
上下水道局長の小野啓輔です。
8月1日は、「水の日」です。
古来、水で有名な俳句と言えば、
「古池や かわず飛び込む 水の音」(芭蕉)
「朝顔に つるべ取られて もらひ水」(加賀千代女)
あたりでしょうか。
私の大好きな川柳の分野でも、
水に関わる名作が、数多くあります。
そんな中から、私が勝手に選んだお気に入りをいくつか。
「水脈を 手繰れば神の 山に着く」 (倉吉市 牧野芳光さん)
~ 鳥取県「名水川柳コンクール」の最優秀賞作品です。
「小諸なる 浅間の水に 歴史(いのち)あり」 (大池光義さん)
「家々へ 命をつなぐ 水の道」 (土屋久美子さん)
~ 長野県小諸市「水道川柳」の最優秀賞・入賞作品です。
「農に生き 水の鼓動を しかと聞く」 (豊岡市 木谷盛男さん)
「水ごくり 私に戻る 音がする」 (宝塚市 和田翆女さん)
~ 兵庫ふれあいの祭典「川柳祭」の会長賞・知事賞作品です。
また、猛暑の今、熱中症予防も大切です。
「多めより こまめが大事 水補給」 (兵庫県 磯江智美さん)
「水飲むな 昔の常識 非常識」 (神奈川県 橋本健吾さん)
「スマホより 携帯しよう 水筒を」 (大阪府 房 稔さん)
「花に水 人にも水で 咲く笑顔」 (北海道 奥井英樹さん)
~ 「健康のため水を飲もう川柳」の最優秀賞・入賞作品です。
さらに、川柳ではなく、短歌ですが、
「震災に強い管だと聞かされて 工事の音も優しく聞こえ」
(ペンネーム 勝手気ままさん)
~ 東京水!作品コンクールの優秀賞も、好きな作品です。
そして、同じ東京コンクール最優秀賞で
個人的に、最も共感できるのが、この一句です。
「「もう一杯」 蛇口をひねる 休肝日」 (ペンネーム およよんさん)
今日は、そんな「ロマンと人情」が溢れる
「水の日」がテーマです。 (言葉が、昭和やな!!)
●「水の日」の制定
暑い熱いあつ~い夏、
8月は一年で水の使用量がもっとも増える月です。
その最初の日である8月1日を、「水の日」、
8月1日~7日を「水の週間」とすることが、
昭和52(1977)年の国の閣議了解により定められました。
さらに平成26(2014)年には、「水循環基本法」(平成26年法律第16号)が制定され、
国民の間に広く「健全な水循環の重要性」についての理解や関心を深める日として、
8月1日は、法律で定められた「水の日」となりました。
水が健全に循環することによってもたらされる「水の恵み」や
「健全な水循環の重要性」についての理解と関心を深めていただくため、
水関係の府省が都道府県等と連携し、全国的な啓発行事を実施しています。
●「水循環基本法」の制定
この「水循環基本法」。
あまり有名な法律とは言えないかもしれません。
もともと、環境問題や水質は環境省、上水道は厚生労働省、工業用水は経済産業省、
農業用水は農林水産省、水資源開発や河川・下水道・海岸は国土交通省というように、
水に関わる行政は、分野も多岐にわたり、法律も個別でした。
各省庁では平成10(1998)年頃から自主的な連絡会議を設置するなど、
水関連の行政を総合的にとらえる問題意識が高まってはいましたが、
結局、法律の実現には至りませんでした。
その後、有識者や超党派国会議員、与野党の各議員連盟などの動きが積み重ねられ、
平成26(2014)年3月、議員立法により、衆参両議院とも全会一致で可決・成立した
という、結構ユニークな法律です。
その基本理念が、「健全な水循環の維持・回復」です。
<平成29年版 水循環白書から>
●そもそも「水の循環」とは?
水は、森羅万象、生命の源です。
私たち人間はもとより、地球上のあらゆる生物にとって、
他に代わりを求めることのできない、かけがえのない重要な資源です。
また、人の歴史は、水のもとで始まり、水と深い関わりをもっています。
水の恵みは、私たちの毎日の暮らしに潤いを与え、
農業や工業、発電や舟運、医療、流通、レクリエーションなど、
さまざまな産業や経済、文化の発展に重要な役割を果たしてきました。
水の惑星と言われる地球ですが、
実は、地球上の水の約97.5%は海水で、淡水は約2.5%にすぎません。
しかも淡水のほとんどは、南極や北極などの氷河や地下水で、
私たちが比較的容易に利用できる水は、
河川・湖沼などわずか0.01%でしかないと言われています。
例えば、地球上に存在する水の量を、500ミリリットルのペットボトル1本分とすれば、
河川や湖沼などの水として存在する淡水の量は、
そのうちのわずか「1滴」程度にしかならないのです。
このように、水は決して豊富ではなく、限りある貴重な資源なのですが、
地球上の豊かな水の恵みは、「水の循環」によって保たれています。
水は、海水や河川の水として常に同じ場所に留まっているわけではありません。
太陽からの放射エネルギーによって、海や大地や植物の水が蒸発・蒸散し、
上空で冷やされて霧や雲になり、やがて雨や雪となって地上に降ります。
雨や雪は、地球の重力に従って、地下水となり、次第に集まって湖沼や河川となり、
さらに海へと流れ出て、戻っていきます。
それが蒸発して、また雨が降って・・・というように、絶えず循環しています。
これが、「水の循環」です。
この「水の循環」によって、塩分を含む海水も蒸発する際に淡水化され、
私たちが利用可能な淡水資源が常に作り出されています。
水資源は、消費すればなくなってしまう化石燃料などの資源と異なり、
上手に使えば、循環により繰り返し利用できるという大きな特性があります。
<水の循環 ~ 政府広報オンラインから>
ところが、高度成長期の都市への人口や産業の集中、都市域の拡大、
産業構造の変化、過疎化や高齢化等の進行、
地球温暖化など気象変動等を背景として、
この「水の循環」が変化し、その健全性が損なわれてきています。
それに伴い、化学物質や各種排水による水質や土壌の汚濁、湧水の枯渇、
地下水の減少、地盤沈下、森林や農地の減少や荒廃、保水機能の低下、
河川流量の変化、水辺や水生生物の生育・生息環境・生態系への影響、
さらには、都市化等による水の浸透機能の低下、地表水と地下水の連続性の阻害、
ヒートアイランド現象、地球的規模での降水パターンの変化や気候変動等による
局地的な洪水や渇水被害、干ばつ、都市型水害の増大、水文化の衰退など、
さまざまな問題が顕れてきました。
特に、近年の日本列島では、先日の「平成30年7月豪雨」にも見られるように、
集中豪雨や大型台風による「異常気象、洪水、河川氾濫」などによって
全国各地で甚大な浸水被害が生じている一方で、
毎年のように全国のどこかの河川で「渇水=水不足」が発生しており、
人口と社会経済活動が集中する首都圏においても、
平成28(2016)年、平成29(2017)年と連続して、
取水制限が必要な「渇水」が生じています。
<平成29年版 水循環白書から>
●「水循環基本法」のポイント
このような問題に対処するためには、
水が、国民共有の、ひいては人類共通の貴重な財産であり、
公共性の高い大切なものであることを、
国・地方公共団体、事業者、国民がしっかりと再認識し、
水が健全に循環し、水がめぐる先々でもたらされる豊かな恵みを
将来にわたって享受できるよう、健全な水循環を維持・回復するための施策を、
バラバラの縦割りではなく、包括的に推進していくことが不可欠です。
そこで、この水循環全体をしっかり守っていくため、
水循環に関する基本理念を明らかにし、施策を総合的かつ一体的に推進する
「水循環基本法」が制定されました。
水循環基本法では、「水循環」と「健全な水循環」を、次のように定義しています。
*「水循環」とは、水が、蒸発、降下、流下又は浸透により、海域等に至る過程で、
地表水又は地下水として河川の流域を中心に循環することをいう。
*「健全な水循環」とは、人の活動と環境保全に果たす水の機能が適切に
保たれた状態での水循環をいう。
そして、国・地方公共団体の施策の策定・実施責務や、
事業者・国民の水の適正利用・健全な水環境への配慮・協力を規定、
「流域の総合的管理」「水循環基本計画の策定」「基本的施策の実施」
「教育の推進」「国際的な連携・協力」
「内閣総理大臣を本部長とする水循環政策本部の設置」などを定めています。
そして、この法律に基づき、「水循環基本計画」が、
平成27(2015)年7月に策定されました。
水循環基本計画は、こちら。
<水循環基本法 水循環基本計画 ~ 内閣府から>
水は、太陽のエネルギーと地球の重力により、たえず地球上を循環しています。
人類は、太古の昔から変わることなく繰り返されている
この大きな循環の中で、生きてきました。
水を利用し、水の恵みを受け、時には災害を防ぐために、
さまざまな努力をしてきました。
水の循環との深い関わりの中で、水と共に暮らす知恵と工夫が蓄積され、
多様な地域文化が育まれてきました。
上下水道局が所管している上水道と下水道も、
原始の水循環にさまざまな知恵と工夫を加えながら、
人類が長い時間をかけて、創り上げてきたものです。
河川や地下水から水を導き、人が安心して飲める良質な水道として各ご家庭に届け、
利用された水を、下水道を通して、再度、浄化処理し、河川に還していく。
まさに、「水の循環」に深く関わる営みです。
水循環に配慮し、汚染のないきれいな水を確保・維持し、
豊かな自然と水の循環がもたらしてくれる水の恵みを
可能な限り損なうことなく、水の循環と共生していく。
また、貴重な水を大切に使い、守り生かす文化を大事にしていく。
そんな上下水道局でありたいと思います。
●水への想いを大切に
少し、話を大上段に振りかぶりすぎました。
「水の日」は、水の貴重さ、大切さ、水資源の重要性について、
関心を高め、理解を深めるための記念日です。
そのため、例えば中学生を対象に
「水の作文コンクール」なども実施されています。
今年の募集は、すでに5月で締め切られています。
水の作文コンクールについては、こちら。
過去の入賞者の作文が、すべて掲載されています。
昨年のコンテストで、熊本県の中学校1年生 岡部利穂さんが、
みごと内閣総理大臣賞を受賞されました。
作文の題名は、「水への想いが変わった日」。
熊本地震を体験し、断水と余震が続く、怖くてつらい毎日を過ごした中で、
水の大切さに心から気づいていく様子が、生き生きと描かれています。
岡部さんの作品は、こちら。
今回、大阪北部地震により、
箕面市でも大規模な断水が生じました。
同じ思いをされたかたも、大勢いらっしゃると思います。
「水の日」を機会として、
あらためて、水の大切さや地球の水循環に、
少しでも想いを巡らせていただけたら、とても幸いです。
箕面市ふるさと納税の利用を市民のみなさまに呼びかけるため、2018年7月31日(火曜日)までの間「えっ、箕面市民も寄付できるの?箕面市ふるさと納税!」を統一キャンペーンとして展開します。