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Channel: 部長ブログ@箕面市役所
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上水道の不思議 ~ 導水・送水・受水・配水・給水

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とても親しい先輩が、             
六十歳を過ぎてから、和裁に初挑戦しました。
彼女の目的は、手持ちの着物を、
普段着られる洋服にリフォームすることで、
生涯学習センターの講座を受講しました。

ところが彼女は、着物や和裁の知識や経験が全く無く、
ほとんどゼロからのチャレンジで、
出てくる言葉・用語、会話、動作がわからないので、
いっぱい恥ずかしい思い、悔しい思いをしたそうです。
それでも、予習・復習も繰り返し、
なんとか課題作品を仕上げて、講座修了しました。
今では、講座後にできたサークルにも通っています。

何人かで飲みながらこの話を聞いたとき、
他の先輩方は、和裁の知識・経験があり、
仕付けや裁断、縫い代など
彼女の失敗談で大笑いし盛り上がっていましたが、
私は、六十歳を過ぎてもなお、恥をかき笑われながらも
全く新しいことにチャレンジしておられる真摯な姿に、
深く感動し、一人、笑いながら涙ぐんでいました。

人は、いくつになっても成長します。
しかし、歳を重ねると、へんに賢くなって、
恥をかいたりしかられたり笑われたりすることを避けて、
新しいことにチャレンジしなくなることが多いです。

このたび、58歳で初めて上下水道局を経験することになった私も、
新しい文化や体験に、とまどい、恥をかき、笑われながらも、
大きく成長していきたいと思います。

●はじめての企業会計

上下水道局で一番変化を感じるのが、企業会計です。
まず、支出命令書などの会計書式が、一般会計とは全く異なります。

企業会計は、複式簿記・発生主義会計ですので、
支出命令書自体にも、貸方、借方の仕訳が記入されており、
予算も「3条収益的収支」と「4条資本的収支」に分かれています。
私は、簿記会計については、表層の知識しか無く、
実務経験も全くありません。
なので、まずは『やさしい企業会計』という本を読み始め、
「ぜんぜんやさしくないやんけ!!」と悪戦苦闘している私に、
やさしい上下水道局の職員が、コピーの束をくれました。
それは、月刊誌『地方財務』に連載している
「ここが知りたい! 公営企業会計の経営実務」の
13回分のコピーでした。

この連載、初めて公営企業に配属された新人職員の「経営しろと」くんが、
ベテランの課長に教えられ、導かれながら、
企業会計を段々と理解していく成長の物語になっています。
読者は、これを読み進めながら、しろとくんと一緒に
企業会計や公営企業経営の知識や理解を深めていくことになります。
私は、このコピーをむさぼるように読み込み、
「経営比較分析表」や「減価償却」や「財務3表」や「経営戦略」やらと、
なんとか知識と理解を深めつつあります。
そんな私に、先頃14回目のコピーを持ってきてくれました。
テーマは、「引当金について」でした。
うちの職員は、ほんとやさしいです。

【経営比較分析表の一部です】



●はじめての上下水道用語

会計とともに悩まされるのが、
上下水道独特の専門用語です

またまた余談で恐縮ですが、
かつて、平成の世が始まったときに、
たしか平成元年の後半だったと思います。
誰かが「平成2年度の予算」のことを
「へーに予算」と言いだしました。
この呼び方は、またたく間に広がり、
「彼はへーさん採用」とか「目標年次はへーはち」など、
市役所内では、普通の会話で使われています。
昭和の時代でも、例えば昭和6年のことを「しょーろく」とは
言ってなかったと思います。
平成を「へー」と呼ぶのは、市役所独特の専門用語だったのでしょうか?

専門用語というのは、なかなか外部の人、初めての人にはわからないものです。

上下水道局に配属になり、4月の最初の頃に回覧されてきた書類には、
「ジェオスミン、2-メチルイソボルネオール、さらにはその後追加・強化された
 亜硝酸態窒素、ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸などの改正水質基準」
とか
「クリプトスポリジウム及びジアルジア関連項目とその指標菌である
 大腸菌・嫌気性芽胞菌の試験結果による膜ろ過装置の実証」
とか、
「熱硬化性樹脂を含浸させたシールホースを既設人孔から下水道管渠内に
 反転加圧挿入するホースライニング工法」
とか、
頭の中で ??? が並びます。

【膜ろ過装置です】

 

かつて、私が健康福祉部長だった時にも、
異動してきた職員によく、「福祉は専門用語が多くてわからない」と
言われていました。今、それを身をもって実感しています。

上下水道の分野は、それぞれ歴史と伝統、技術の発展を積み重ねてきた、
ある意味、技術者の集団でもあります。
特に、水道は、市民の皆さまへ「安全・安心で良質な水」をお届けするために、
厳しい水質基準をもうけて、日々、化学的な水質検査を行っています。
また、下水道も、衛生的で快適な市民生活を守るため、
事故や故障を防止する老朽管再生や耐震化工事を計画的に進めています。
いずれも、技術用語・専門用語が飛び交う世界です。

もともと「事務屋」の私では、なかなか理解が追いつきませんが、
優秀な職員と、優秀な事業者さんが取り組みを進めていますので、
ご安心ください。

    【坊島受水場です】       【小野原配水地です】  


もっと初歩的なところで、私が上下水道局に来て初めて知った
上水道独特の専門用語をご紹介します。

河川や井戸などから調達した水が、ご家庭などの上水道使用者へ届くまでに、
水は実は、何度も名前を変えるのです。

<原水>:河川や井戸などの水のこと
<取水>:河川や井戸などの水源から、原水を取り入れること
<導水>:取水施設で取水された原水を浄水施設まで導くこと
        つまり、浄水処理前の原水を浄水場に送ることを言います。
<浄水>:上水道の水質基準に適合した良質な水道水を作ること
       沈殿・ろ過・殺菌・消毒などを行った「安全・安心で良質な水」です。
<受水>:大阪広域水道企業団から受水場に浄水を受けること
<送水>:浄水場や受水場から配水地まで浄水を送ること
<配水>:配水地から各使用者(ご家庭など)の近くの配水管まで浄水を送ること
       各使用者の需要に応じて適正な水量・水圧で送る必要があります。
<給水>:水道事業者(市)の敷設した配水管から分岐して、各使用者(ご家庭など)に
       浄水を供給すること

このように、河川や井戸などからご家庭へ至る水の位置によって
水の呼び名を使い分けています。
それに合わせて、必要な各施設も
取水場、浄水場、受水場、配水地とか、
導水管、受水管、送水管、配水管、給水管などの
用語を区分しています。

なかなか奥が深い上下水道の世界です。
まだまだ、新しいチャレンジが続きます。

箕面市ふるさと納税の利用を市民のみなさまに呼びかけるため、2018年7月31日(火曜日)までの間「えっ、箕面市民も寄付できるの?箕面市ふるさと納税!」を統一キャンペーンとして展開します。


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