こんにちは。農業委員会事務局長 野澤昌弘です。
この度、「第10回耕作放棄地発生防止・解消活動表彰」(一般社団法人全国農業会議所と全国農業新聞主催)で、箕面市農業公社が、全国農業会議所会長賞を受賞しました。
全国に数多くの農産物の産地があるなか、大阪府の事業体がこのような上位入賞を果たしたことは過去に例がなく、都市農業として箕面の会長賞入賞は大阪初です。
5月30日(水曜日)、東京 文京シビックホールでの全国表彰式には、農業委員会阪本会長に代表して出席いただきます。この3年間の一般社団法人箕面市農業公社の箕面市、農業委員会、教育委員会(学校給食)と連携した遊休農地解消活動が評価されたもので、これまで農業公社の活動を支えてくださったすべての方々に、心より感謝申し上げます。
1.箕面市農業公社の歩み!
大阪は、平野部が広がり、温暖な自然条件。道路、空港、港湾など生産関連の社会資本が整備され、交通結節点として市場アクセス性の良さといった比較優位性もあって、東京圏・名古屋圏とともに三大都市圏として、都市化が進みます。
一方で、農業は小規模な家族経営が主流。都心で働き口を持ちながらの兼業就農型が大半。しかも、(法人事業体ではなく)家族での再生産が基本形態なので、家族の誰かが体調を崩すと農業経営がストップするという農業生産基盤の脆弱性があります。
産業構造の変化、都市化の深化とともに、徐々に農業の後継ぎとなられる方も当然に減っていく流れです。箕面市でも後継者のない農地を地域資源として荒廃させず、営農困難農地を誰が救済していくかが課題でした。(下表は箕面市における農家戸数の推移)
産業構造の変化等を背景とした農業人口の減少に対して、平成21年に農地法が改正され、農業法人もリース(土地を借り受ける)方式に限って農業経営が認められました。
しかし、本市のような都市農業では、地方の肥沃な田畑が広がる産地とちがって、1筆ごとの農地面積が小さく、整形ばかりでもなく、かつ点在・分散という規模拡大による生産性向上が図りにくいといった”条件不利”がいくつも重なり、参入を志す法人などの借り手ニーズ「良い条件の農地で農業を営みたい」とは一致せず、経営効率良好な農地でない限り、需要と供給の両曲線は交わらない。自由市場のメカニズムは機能せず、担い手がいない農地は見つからないままの状態にありました。
平成26年2月、担い手がない農地を守りたい。市独自に、遊休農地の利活用に向けた受け皿組織「一般社団法人箕面市農業公社」を立ち上げました。同時に、農政と学校給食が組織のカベ(壁)を越えてつながります。行政組織の改革として、農業委員会事務局に、「(学校給食も併任する)箕面産と食の推進室」が設置されました。
(仕事をしていて自然と笑顔になる職場!5月7日外院地区の農業公社の畑。
本日17日から学校給食で使用される今年の新玉ねぎを収穫する農業公社の皆さんです。)
幾代にも受け継がれてきた地域資源であっても、耕す者がいないと “やっかいな遊休資源”となる。遊休農地をほったらかしにすることは、周辺の住環境の劣化を再生産することにもなります。そのような中、箕面市農業公社がこの5年間で荒廃農地を開墾したり、再生してきた農地は、現在約4.8㌶。
農業公社の職員が耕作して、市内学校給食へ出荷。売上は、年間約500万円程度ですが、遊休農地のまま放置されていたら失われていた地域の経済損失も取り戻したところです。
重量ベースでは年約25トンもの野菜を学校給食(年使用全野菜は約265トン)に納品しており、“やっかいもの”だった遊休農地から、学校給食で使用される食材の約1か月分相当を”創出”している計算になります。
遊休農地を解消しながら、地域も潤していく。
今般、箕面市農業公社が全国表彰されることで、少しでも大阪という地の農業への脚光が広がればと希います。
大阪には、消費者と生産者が近接する集積の経済メリットがあります。採れたて新鮮な地場産野菜、安心安全の生産者が見える野菜は消費者にも魅力的ですし、生産者にとっても加工品など消費者に提供する財の多様性が増えます。
朝市や学校給食といった消費者との基本接点も拡げ、大阪農業が若手農家や新規農業参入者にとって“ときめく業種”であることをめざします。
(5月5日、粟生間谷西地区の農業公社の畑。紫花が咲き誇るジャガイモ畑。箕面にはこんなところがあるのです!)
2.インドからも箕面に行政視察!
箕面市の農業振興の取組みについて、全国の自治体から視察に来ていただけることが多くなり、こちらも多分に勉強させていただいてます。
5月11日(金曜日)、インドから農業関連の起業家の皆さん12人の視察団(Agritech Study Mission to Japan)がインド日本商工会議所カルナタカ州の支援を受けて日本を9日間にわたり訪れ、箕面市の都市農業振興の取組みも視察に来られました。
昨今、インドでも若者の農業への就職は少ないそうで、農業の担い手問題は日本と同じような状況とのこと。農業へのIT導入もかなり進んでいるようで、農業機械の情報制御システムや施設園芸における環境制御機能など農業生産性の向上・省力化なども幅広く意見交換でき、こちらも世界観が広がり、自分たち行政に何ができるのかを考えさせられました。
「本日は、お昼ご飯は何を食べられましたか?」「お昼は、カレーだよ。」
やっぱり・・・と思いながら、箕面の地場産野菜の学校給食について、
「中学生のお昼ごはんは、1食270円です。」と説明させていただくと
「チープ!(安価)」と皆さん驚かれていました。
(実は、通訳なしでわかった英語というか英単語はこれだけです)
インドの方々にも箕面の地場産学校給食は、美味しく・少ない予算で・誰にもやさしく提供していると映ったようです。
今回の受賞を契機に、農業公社の職員も改めて期待を背負って頑張っていく決意です。今後とも、箕面市農業公社をよろしくご指導ください。
箕面市ふるさと納税の利用を市民のみなさまに呼びかけるため、2018年7月31日(火曜日)までの間「えっ、箕面市民も寄附できるの?箕面市ふるさと納税!」を統一キャンペーンとして展開します。